<前略>
昨今の人材不足と開発拠点の海外展開を受けて、上流設計の自動化を試みております。現在はベテラン設計者が行なってきた設計の流れを、それぞれに書き落として貰い、ルールを抽出する取組みを行っておりますが、なかなかうまく行きません。
ベテラン設計者達が書き落とす内容が、短絡的と言うべきか、極めて歯抜け状態で、ルール抽出以前の段階で、この歯抜けを埋めるためのヒアリングに殆どの手間を割かれてしまい、取組みが遅々として進みません。
このプロジェクトから依頼を受けて、ボランティア的に書き落としをしてくれている方々が、面倒がったり、自分のノウハウを漏らしたくない自己保身の意識から不完全な書き落としがなされるなら未だ理解できるのですが、このプロジェクトの責任者を務めるかつての設計部長でさえ、歯抜けだらけの書き落としを作る始末です。
なおこの責任者は、定年後の再雇用をされている方で、本人は「もう責任あるポジションは結構、お前達が務めなくてどうする!」と言うスタンスで、どちらかというと我々が無理にお願いして責任者を務めて頂いている状況ですので、取組みの目的は十分に理解しており、面倒がるわけもなく、自己保身も必要のない方です。
そこで何か良い手立てはないかと探し回った結果、先生が提唱されている設計思考展開手法にたどり着きました。そして早速ご著書を購入して(新品は在庫切れだったため中古品を)、じっくり拝読をさせて頂きました。結果ご提案されている手法は、まさに我々が求めている物であり、早速この手法を導入すべくお問い合わせをさせて頂いた次第です。
そこでよろしければお教え頂きたいのですが、この手法を自動設計システム構築に適用している事例は、ありますでしょうか。ある場合、先生が関与したケースは、何件くらいありますでしょうか。この手法をマスターするために、先生にご指導を仰ぐ場合には、その費用と期間はどの程度必要でしょうか。
弊社では20年以上前から、ルーチンワーク的な設計行為を、パラメータ化して図面を生成する自動設計システムを構築運用しており、この面での経験は充分すぎるほど持っております。また上流設計部分での自動化のチャレンジも、昔から行っており、その難しさや押さえるべきポイントは、十分に理解しているつもりです。
<後略>
ご質問1
この手法を自動設計システム構築に適用している事例は、
回答1
恐らく前書きに近い部分のため読み飛ばされたのだと思いますが、同書籍では設計思考展開誕生の経緯を説明する部分で、以下のような記述があります。
************同書籍より転載*********************
しかし貴社が狙っている“上流設計部分での自動化”は、どの程度の設計判断までを自動化しようとしているか解りませんので、その目論見によっては、丸々巧く適用できるか否かは、保証致しかねます。
私は建設機械の設計者時代から、設計の自動化の研究を行い、チャレンジして参りました。未だ2次元CADが一般化する30年以上前からです。当初はAI(人工知能)技術の進化で、全ての設計行為を自動化できると信じておりました。
その後、様々な場面での設計の自動化にチャレンジしたのですが、完全な自動化は恐らく未来永劫無理だという結論に至っております。そして、より現実的な、重要な設計判断は設計者が行う“半自動化”システムに止めて参りました。
この際に、「設計思考展開」で漏れなく体系化された、過去に行った設計思考の流れは、重要な判断を下す設計者達のバイブルとして、極めて強力な武器となっております。
ご質問2
先生が関与したケースは、何件くらいありますでしょうか
回答2
正確な数字を拾い出す作業は、20年分を全て振り返らなければならないため(初期のコンサル資料は、ワープロFD及び紙でしか残っていないため)勘弁頂きたいと思いますが、技術士事務所開設以前からの分も含めて、既に50件を超えているはずです。
ご質問3
この手法をマスターするために、先生にご指導を仰ぐ場合には、その費用と期間はどの程度必要でしょうか
回答3
設計思考展開入門講義が3日で180万円、実テーマ実施指導10日で300万円、その後1年余りのフォローが年間24回訪問で約840万円になります。いずれも旅費などの実費や消費税は抜きの料金です。