CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

パラメトリック形状部品の最適形状追込み方法




■質問■

<前略>

弊社では、CAEを使って、その最適形状を追い込む部品は、殆どがパラメトリック形状をしております。

そこで現状では、3D CADでパラメトリック生成した3次元形状に、形状単位での加重拘束条件を与えたうえで、形状パラメータを振って、最適形状を追い込む方法をとっております。

当初は、形状最適化シミュレーションツール?を用いて、自動でその形状を最適化しようとしたのですが、なかなか納得の行く最適形状を求めることができず、かえって担当者の手間を増やすことがわかり、現在の方法を採用しております。

ある程度経験を積んだ担当者達なら、闇雲に最適化を自動処理させるより、人間の判断の元、方向性を定めて追込みを行った方が、圧倒的に早いことがわかったからです。

しかし現在の方法では、手間という意味では問題ないのですが、CADが持つ自動メッシュ機能などの制約で、解析モデルが必要以上(極端)に重たいモデルになってしまい、計算時間や結果照合など、担当者達に無駄な時間を費やさせる結果に陥っております。

以前先生のご講演に参加させて頂いた際、メッシュモデルの接点座標を直接いじって、軽いモデルで効果的に追込みを行う例を上げておられましたが、弊社のようなケースは、この方法が当てはまるのではないかと思いお問い合わせをさせて頂きました。

弊社で形状追込みの対象となる代表的な部品の3次元イメージ図を添付させて頂きますので、アドバイスを頂けますと幸いです。

<後略>

■回答■

お送り頂きました部品形状を拝見する限り、確かに、直接メッシュモデルの接点座標にアクセスして、パラメータスタディを行った方が、圧倒的に効率が良い部品形状と見ます。しかし、この方法を採る場合には、対象となる製品、部品の設計要求要件が完全に解明されている必要性があります。

なぜなら、パラメータスタディをすべきパラメータに合わせて、接点座標系などを定める必要があるからです。

例えば円筒座標系でのパラメータスタディを行わなければならないモデルを、直交座標系でモデリングしてしまっては、巧くできたサブプログラムを用いない限り、自動・手動に拘わらず、パラメータスタディなど不可能に近いからです。

私が紹介したモデルは、メッシュモデルは、基本的には常に一定です。そしてモデルを構成する接点の座標をいじって、部品形状を変化させながら最適形状を追い込む仕組みです。このためには、グループ分けされた接点番号群と、追い込むパラメータに応じた座標系(ローカル座標系を駆使した)が必要になります。

そして、このアプローチのツボは、定義する接点番号群と座標系の取り方です。これらが、設計の目的に合致した内容で、パラメータスタディを行える取り方になっていることです。

さもないと、的はずれなパラメータスタディを繰り返し、いつになっても本当の最適形状にたどり着かない、徒労を繰り返すことになるからです。

私の指導先では、“設計思考展開”手法を用いて、対象部品の細目形状までの設計要件や、あるべき姿を追い込んだ上で、モデルに落とし込むので特に上記したような問題は、発生致しませんが、この部分のアプローチを、不確かな状態で、パラメータスタディモデルに落とし込んだ場合には、上記したような問題が発生することを留意ください。


<会員の皆様に>

会員の皆様の中で、本件と同類の課題をお持ちの方々に補足致します。

上記したようなアプローチを、各々でなさろうとしたときに、その昔、黎明期のメッシュジェネレータなどを用いて、解析モデルを作成した経験のない方々は、具体的にどのようにアプローチして良いのか判らないと思います。

私どもには、このあたりのアプローチを記した参考資料がございますので、ご遠慮なくお声掛け下さい。