<前略>
先生がご提唱されておりますフロントローディング設計を実現すべく、弊社では7年ほど前に外部からCAEエキスパートをスカウトして、開発初期段階でのCAEを活用したフロントローディング設計に取り組んで参りました。先生の教え子だと本人は申しており、恐らく先生もご存じの、以前**にいた@@です。
しかし弊社の体質上、どうしても設計の補助的役割にならざるを得ない状況があり、一連の取り組みの中で、彼には相当なフラストレーションが貯まっていたようです。このような経緯もあり、2年前に@@は、他社から条件の良い誘いがあったのだと思いますが、退職してしまいました。
幸いここ2年ほどは、真っ新からの新製品開発が無かったために、彼がいなくても何とか凌げてきたのですが、ここに来て急遽新製品を、立て続けに出さなければならない必要性が生じ、早急なる対策に迫られております。
私としては@@の経緯もあり、先生がご著書で書かれておられますように、外部から人材を引っ張って来るのではなく、現役の設計者をうまく育成して、自分の道具として駆使させる方向で、CAE技術の取得を行いたいと考えております。しかしかといって悠長なこともしておれず、この取り組みを極めて短期間で仕上げる必要性があります。
そこで先生にお願いですが、弊社の苦境をご高配頂き、なるべく安い費用、且つ短期間でCAE技術の取得に、ご協力をお願いできませんでしょうか。
先生がお考えになられますご支援のあらまし、費用、期間などをお知らせいただけますと幸いです。
<後略>
ご支援を申し上げることは、吝かではありませんが、極めて漠然としたご質問ですので、詳細の見積もりは、詳しくお話をお聞きした上で、算出させていただきます。ですからとりあえずは、詳しい状況を確認させていただいた後、期間、金額などの大幅変更があるという前提で、お答えをさせていただきます。
まずご希望の“短期間”ですが、実際の開発と切り離した中での、人材育成アプローチでは、難しいと考えます。実際の開発案件に私も参加させていただき、フロントローディング設計へのアプローチを、ご指導申し上げる中で、CAE活用技術もOJTで会得いただく方法をお勧めいたします。
私が提唱しているフロントローディング設計は、設計の初期段階から、その製品の開発過程や量産化以降生ずる、あらゆる問題点を予測して、事前に潰し込んでゆくアプローチ手法です。
CAE技術の活用も、その一翼を担うという意味では必須ですが、これだけでフロントローディング設計が実現できるわけではありません。商品企画段階におけるフィジビリティースタディから始まり、自社が持つあらゆる知恵を結集する設計思考展開の活用や、最先端の計測技術を駆使した、現物から対象機械のメカニズムを知る作業など、その取り組みは多岐にわたります。
これらを一貫して、全面的にご支援申し上げようという話です。恐らくこのアプローチ方法を選択いただかない限り、ご希望されている“短期間”は、実現できないと思います。
続いての課題は、CAE活用技術を会得いただける素養を持った人材の有無です。対象は@@さんの経緯から見ても、貴社の現役(設計から離れて2〜3年以内も含む)設計者達の中から、素養のありそうな人材をピックアップして、私の指導の下、新製品の開発を通じてその操作方法も含め、活用手法を会得してもらおうという目論見ですので、設計的・工学的なセンスが劣っていたり、理解力が不足しているような方ですと不適格といえます。
仮にこのような人材がいない場合には、貴社の今の目論見は、恐らく実現できない事になり、期間どころの話ではなくなりますし、私もお手伝い致しかねます。
仮にまた外部から人材をと言う試みを行ったとしても、@@さんが何故余所に行ってしまったかを、冷静に総括して、貴社の設計文化を、その根底から改めないと、ご希望される態勢確立は、難しいと思います。
@@さんは、私の教え子達の中でも、群を抜いて優秀な方です。私のフロントローディング設計アプローチ手法を、よく理解して、単にCAEシミュレーション技術だけに止まらず、従来工学手法アプローチや、計測アプローチ、統計手法アプローチなど、あらゆる手法を駆使できるまでに育っていたはずです。当時お勤めの会社が苦境に陥らなければ、決して貴社に転職してこなかった方です。良い条件で転職できる人から、積極的に転職してもらっていた経緯を、承知しておりますので。
そのような彼を、十分に活用できずに、腐らせてしまった背景には、貴社の設計文化によほどの問題があると診ました。ですから上記のような厳しい指摘を行わせていただいた次第です。
さてご質問の費用ですが、私どもが用意しておりますコンサルティングパッケージ、Cコース1,560万円(旅費・諸経費・税別)(年間合計訪問回数48回(7時間で一回)、ご来社頂いての支援6日(3.5時間単位)、各月Eメール/電話/FAXでの支援240回(15分/1回)バックオフィス作業は、上記時間中より使用。)をお勧め致します。
育成期間は、実際の開発作業を通じてのOJTになりますので、事前にツールの操作トレーニングに販社講習に参加いただく時間、自習する時間などを1ヶ月程度見ておいていただければ充分です。
尚ご参考にまで、フィジビリティースタディの必要性や目的、製品開発初期段階からのフロントローディング設計を実現する取り組みなどの、概要を纏めた資料を添付致します。