CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

海外へ開発拠点を分散化する際のポイントは?


■質問■

<前略>

昨年の11月18日に掲載された「中国における現地採用スタッフの教育に設計思考展開手法は有効か」のお答えを拝読させていただき、問い合わせをさせていただきます。

弊社でもこの質問企業と全く同様な悩みを持っております。ただ一点違うところは、中国本土は、ほとんど対象として考えていないところです。先生からのほかのご発信を拝読しても、先生がこれまでご指導をなされてきた様々な製造業が、中国で散々な目に遭ってきたであろうことは、容易に推察できますし、実は弊社でもこの20年来、幾度となく腸の煮えかえる思いをして参りました。このような経緯から、中国本土については、ほとんど対象として考えていないという次第です。

さて弊社では、これまで国内開発にこだわり積極的な海外開発拠点は設けておりませんでした。基本的には、物作りの都合上生ずる、特に現地調達などの、量産維持業務を担当する設計チームを、現地に派遣して、生産のグローバル展開を行って参りました。現地での設計スタッフ採用もありますが、一般的には、現地サプライヤーとの交渉をサポートする通訳や、製図などの補助要員か、日本留学経験者で、日本企業勤務経験がある者など、極めて限られた現地化ですませて参りました。

しかし昨今特に海外ファンド系の株主などから、「何故コストの高い日本人設計スタッフで、海外設計業務を行っているのだ?」「現地向け製品の開発は、消費地に近い所で、消費者と近い(同国民、同人種)スタッフで行うべきなのに、何故日本に持ち帰って開発を行っているのだ?」などと横やりが入っており、経営としては、その要求に応えざるを得ない状況にあります。

しかし先生がおっしゃっておられますように、我が社の命である固有技術を、易々と流出させるわけにもゆかず、技術関係者一同思案に暮れている状況です。

きわめて漠然とした質問で申し訳ないのですが、先生がこれまで支援を行われて来た製造業でも、同様な問題が生じていたと思いますが、その際には、どのような解決策を講じてこられたのでしょうか。一面識もない先生に、しかも費用も払わずぶしつけな質問ですが、下記する取り組みも考えておりますので、何卒アドバイスを頂けますようお願い申し上げます。

一方、11月18日の記事にも書かれておられます、弊社が持つ継承技術や固有技術を、洗いざらい、整理体系化された形式知に落とし込む取り組みですが、私が入社した30年近く前から、過去何度もチャレンジしては、いつの間にかうやむやになる繰り返しを行ってきました。この取り組みを、上記海外開発拠点の件とは別に、ここで改めて取り組もうと考えております。

その際先生にご支援をお願いできますでしょうか、また費用はいかほど必要になりますでしょうか。

<後略>

■回答■

まず最初のご質問ですが、具体的な国名はあげませんが、信頼に耐える企業への忠誠心を持ってくれる国民が多い国もあります。このような場合には、採用する人を厳選(価値観・思考や行動のパターンなどに重点を置き)した上で、機密保持の確約(ペナルティーをつけた契約)し、日本人社員と同様な育成行っても問題ないと考えます。私の支援先でも巧くいっているケースが少なくありません。

しかし貴社では、これまでに各国に展開してしまっておられるでしょうから、今更信頼に耐えうる国民の多い国だけに生産拠点を絞り込めといっても難しいと思います。このような場合は、信頼に足る国民が多い国の生産拠点近傍に、周辺国も含めた開発拠点を設ければすむはずです。これをすれば、少なくとも、「何故コストの高い日本人設計スタッフで、海外設計業務を行っているのだ?」という指摘に対しては十分反論できるはずです。

「現地人への技術移管を現在遂行中であり、2年後には現地独自開発ができる予定だ」「ただし無闇に多くの国に開発拠点を分散することは、無駄と考えるので、東南アジア地区、北米地区、ヨーロッパ地区などの括りでの、独自開発ができる力を持った、開発センター体制とする方針である」と持ってゆけば、五月蠅い株主たちも黙るはずです。

また「現地向け製品の開発は、消費地に近い所で、消費者と近い(同国民、同人種)スタッフで行うべきなのに、何故日本に持ち帰って開発を行っているのだ?」という指摘に対しては、「市場規模から期待できる利益と、現地開発化移行に費やす費用やリスクを、にらみ合わせた上で個々に判断している」「地域単位での開発センター体制の構築を急いでいるのだから、指摘に対して十分に応えられるのではないか」といなせるはずです。

実際に、どの程度本気で、開発拠点の現地化を行うかは、上記した様に、費やすコストや、起こるであろうリスクと、現地化を行ったことにより期待できるメリットを天秤にかけ判断すべき話です。少なくとも根拠が乏しい、株主達の要求に対しては、しらを切るか適当にあしらうしかないでしょう。

いずれにしろ諄いですが、自社の命である固有技術や継承技術が、流出する危険性をはらんでいる場合には、どのような雑音が入ろうとも、断固として国内開発を貫くべきだと考えます。

たとえ人件費が高くても、質の高い、顧客に喜んで買ってもらえる製品開発を、短期間に手戻り、後戻りを犯さず実現できたなら、熟練度の低い現地開発要員に委ねるより、圧倒的に低コストで開発がかなうはずです。

これなら五月蠅い株主達に対して、そのデータを示して、彼らの要求を拒否することができるはずです。

二つ目の「その際先生にご支援をお願いできますでしょうか、また費用はいかほど必要になりますでしょうか」は、まずお手伝いは喜んでお手伝いさせていただきます。

費用的には、まず「設計思考展開入門」出張口座の定価は180万円です。一度に受講いただける人数は、実習指導の制約から、一回12名程度に制限させていただいておりますので、多くの方への教育実施をお考えの場合には、その人数を12で割り、180万円を掛けた数字になります。

そして、実際の、“貴社が持つ継承技術や固有技術を、洗いざらい、整理体系化された形式知に落とし込む”作業への支援ですが。当初は私が司会進行を受け持ち、洗い出しや整理体系化の作業を行っていただきます。ここでは、私どもが用意しておりますコンサルティングパッケージコースのご契約をお勧めいたします。

本パッケージコースですと、年間訪問回数48日(1日7時間1日に満たなくても1回は1日とカウント)、年間ご来社指導回数6日(1日7時間半日(3,5Hr以内)単位で利用化)、年間お問い合わせ回数240回(15分で1回とカウント)がパッケージされております。

もし一年以内で使い切ってしまったあとも、なを私のご支援が必要な場合には、追加で同コースをご注文頂くほか、年間24日、12日のコースも用意してありますので、予測されるお手伝い規模で、選んでいただけたらよいと思います。

また一年で、ご契約日数が使い切れなかった場合には、原則は貴社の権利消滅ですが、これまで無理のない範囲(以降半年程度)なら、あとにずらすことで対応させていただいております。