<前略>
初めてお問い合わせさせて頂きます。貴ホームページに掲載されている、一連の3次元CAD導入失敗例を拝読して、お問い合わせさせて頂きました。
弊社でも、ご多分に漏れず3次元CADの導入に失敗しております(多分)。導入の歴史そのものは、今から15年以上前に遡るのですが、当時の3次元CADブームに踊らされた一部メンバーが、積極的にその導入を推進し、製品開発に関わる殆どの部署に、その導入を行い、現在に至っております。
その結果、導入した3次元CADの良し悪しはともかくとして、設計及び物づくりの道具としては、一応定着したと言っても良いでしょう。若い設計者達は、何の違和感もなく、3次元CADを駆使しているように見えます。また不可欠か否かはともかくとして、設計や物づくりの、核になるツールとして、定着したと言っても良いでしょう。
しかし、私には、どうしても納得が行かないところがあり、貴社のホームページ他、様々な情報を漁り、その疑問を解消しようと勤めておりました。その疑問とは、「3次元CADは設計の効率を極限まで高め、さらには設計の質を画期的に高める道具である」と、耳が痛くなるほど導入担当者達や、CAD販社達に聴かされていたのですが、3次元CADが定着して10年以上経つのに、一向に設計の効率が高まらず、又設計の質も旧態膳として、“作って壊して考えよう(先生のフレーズですが)“を繰り返しております。
特に製品寿命が極端に短くなった昨今、その設計の質の悪さに起因する、クレーム経費の額が、馬鹿にならない額となり、リーマンショックを受けても、黒字を維持してきた幣事業部の業績が、昨年度は赤字に陥ってしまいました。
そこで、「本当に3次元CADに、売り文句通りの力があるなら、世の中では、この道具を有効に活用して、大きな成果を必ず上げているはずだ」という思いの中での、情報漁りでした。
しかし、様々な情報発信源を漁っても、販社などが自己アピールのために掲載している物を除いて、全くと言って良いくらい、本当の意味でうまく使えている、私が期待するような成果を上げているところは、なかなか見受けられず、巡りめぐって貴社のホームページに辿り着いた次第です。
そして、今現在弊社が置かれている状況が、決して珍しい状況ではなく、3次元CADを導入することを目的で、その取組みを進めた所では、悉く同じような状況に陥っている事を知り、ある意味安堵致した次第でもあります。
しかし、「余所もうまくいっていないから、良かった」で、済ましてしまったのでは私の役目を果たしたことにはならず、お問い合わせをさせて頂いた次第です。
恐らく先生のこれまでのご対応から察するに、以下でお願いするような質問事項に対しては、にべもない、冷たいお言葉か、きついお叱りのお言葉が降り注ぐであろう事は重々覚悟の上で、敢えて以下の質問をさせて頂きます。もしよろしければお答え頂けますと、極めて幸いです。
<後略>
記
前提条件; 拝読させて頂きました、一連の先生からのアドバイスや、様々な御主張内容から判断すると、先生に弊社の現状診
断を実施頂き、その上で全面的に先生のご支援を仰ぐ事が、最も短期間且つ最大効率で、私の思いを遂げる選
択肢だと承知致しております。しかし、弊社(事業部)今期の業績では、100%そのための費用を、捻出することが
不可能です。いずれはご指導にお出まし願うことを前提に、当面今年度は、我々だけで取組むという事で、以下の
質問にお答え頂けますと幸いです。
質問1 *******************************************
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する手段を考える取組みから始めようと考えておりますが如何でしょうか。
質問2 *******************************************
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質問3 *******************************************
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質問4 そもそもこのような取組みは今更手遅れですか。
質問5 その他注意点がありましたら御教示下さい。
学校の先生と違い、私どもは、私どもが発する情報でその糧を得ております。ですから際限無しに私どもの情報を、様々な理由を付け、無償若しくは廉価で得ようとされる方々には、どうしても厳しい対応になってしまいます。そして、**さんにお読み頂きました、弊社ホームページの掲載記事にも、その様な状況で、発信された内容の物が少なからずあったと思います。
しかしこの度の、**さんからのお問い合わせは、私からの様々な情報発信を、しっかりと把握された上で(かいかぶりかもしれませんが)、最低限ならYES、NOでお答えすれば良いレベルにまで、お考えになられてご質問下さっております。しかも真剣に設計業務改革の本筋に、立ち向かおうと為されております。
端から見たら、鬼のようなと言われるかも知れない私でも、**さんからのお問い合わせのような内容と質の物に対しては、少々なら商売気抜きで、これまでもお付き合いさせて頂いておりますので、お気になさらないでください。
さてご質問に対するお答えですが、まずご質問4のお答えですが、決して遅くはありません。その取組み方次第で、これからでも画期的な成果を得られる可能性があります。
その他のご質問に関しましては、概ねYESです。細かい所は、ちょうど私が「機械設計」誌に、2005年7月から2007年3月まで連載した「グローバル競争を勝ち抜く “攻め”の設計改革講座」で、事細かく解説しておりますので、バックナンバーをご入手頂き、まずはご一読下さい。
その上で改めてご質問頂ければ(恐らく**さんの理解度では質問は不要かもしれませんが)、喜んでお答えさせて頂きます。
同連載には、設計改革に取組む上での様々な心構えから、具体的な取組み方、注意事項、さらには改革を遂行する上での様々な手法まで、その殆どを網羅してありますので、ご一読頂いて決して無駄にはならないと思います。
又貴社規模の製造業でしたら、同誌のバックナンバーは、必ずどこかにあると思いますので、お探し下さい。どうしても見つからない場合は、私にお申し付け下されば、出版元に言ってバックナンバーのコピーを入手致します(有料の筈ですが)。
尚ご質問の3ですが、“ベテラン設計者達を集め、ブレーンストーミング形式”とありますが、人選を誤ると、無駄な時間を費やすだけの結果に、陥る危険性が多々あります。また闇雲なブレーンストーミングも同様です。手前味噌ですが、私どもの「設計思考展開」手法をお試し頂くことも、一考かと考えます。
また御質問2の定量化方法ですが、定量化指標を、最終的には必ず金額に落とし込んでください。それをしないと、後々様々な異論反論がわき上がる可能性があり、それ以前に**さん達ご自身が、判断を誤る危険性を孕んでおりますので。