<前略>
弊社では、この20年来、設計力の低下を問題視して、様々な施策を打って参りました。特にナレッジ分野、即ちベテラン設計者達に帰属している暗黙知を、形式知化したうえで、整理体系化して設計者達に共有化させる取組みには、既に10年以上を費やして参りました。さらに3次元CADの大量導入や、設計者向けCAEの導入など、インフラ面でも、積極的にその導入を行い、万全な環境を準備してきたつもりです。しかし開発設計の効率は、この十年以上一向に改善の傾向を診ることができませんでした。
恐らく何か致命的な誤りを、我々が犯しているのだとは思いますが、我々として考えられるあらゆる可能性を検討した上での取組みでしたので、正直途方に暮れている状況です。しかしこの様な状況を放置するわけにも参らず、4月の年度初めより、過去20年にわたって行った我々の取組みを、一覧できるようにして、設計幹部が可能な限り参加する形で、週一回の総括作業を行って参りました。
そして、これまでに拾い上げられた問題点としては、これまで我々の行ってきた取組みが、ともすればインフラ主導、仕組み作り主導で、現役の設計者達に、直接のアクションを取って、そのスキルを向上させる取組みに欠けていたと言う結論に至りました。
そして今後、これまでの取組みを、効率よくしかも的確に仕切直しして行くためには、どのような手立てがあるかを、関係者が手分けをして探し回った結果、御貴殿のホームページに辿り着きました。
御貴殿のホームページには、設計を担う人材育成や有効活用に関する様々な提起が為されており、「人材育成方法」「設計思考展開を用いた論理的な設計アプローチ」「人材仕分けを用いた人材の適材適所配置」など、鍵が掛かっていて読めない部分も多々ありますが、まさに我々が求めていた様々な情報が掲載されておりました。
そこで唐突ですが、以下に列記する質問に、ご回答頂けませんでしょうか。恐らく御貴殿のビジネスにも結びつく話になると思いますので、ご高配頂きました上、可能な限り速やかに詳細なご回答を頂けますと幸いです。
質問事項
<後略>
それぞれのご質問にお答えする前に総論として、貴社が犯したであろう大きな誤りをまず指摘させて頂きます。
文中に「ベテラン設計者達に帰属している暗黙知を、形式知化したうえで、整理体系化して設計者達に共有化させる取組み」と言うくだりがありますが、この取組みを行う際に、皆様は苦労されませんでしたか。特に暗黙知を引き出すべき“ベテラン設計者”が既に設計部署にいない、退職してしまっている、などの問題はありませんでしたか。
対象者が設計部署を離れていても社内におり、それなりに活躍されている場合などには、恐らくその方は、時間の調整次第で、皆様が行った取組みに協力してくれたと思います。かえって積極的に自分の持つ暗黙知を伝えようとされたはずです。定年などで円満退職された方々も、同様だったと思います。
しかし、本人の意思に反した部署にとばされ、食うために慣れない仕事をやらされていたり、冷遇されている方々の場合には、何かしらの理由を付け、皆様への協力を拒んだはずです。
ましてや、バブル崩壊時に、リストラの対象になり、退職を余儀なくされた方々や、関連会社などに放り出された方々には、恐らく無視されたに違いありません。それ以前に、皆さん自身がそれを分って、お願いすら行わなかったのでは無いでしょうか。
我が国を代表する数多くの大手製造業に対して、その設計力強化への取組みを支援してきた私は、バブル崩壊以降行われた、無能経営者達による、技術継承や人材力維持・向上に対する失敗を、各所で見て参りました。長期的な自社の発展を蔑ろにした、なりふり構わぬ、近視眼的経営判断を原因とした、特に人材面や継承技術面での大間違いです。そして貴社の場合、ご多分に漏れず、同様の誤りを犯しているはずです。
余談ですが、たまたま私が付合っている開業技術士仲間の中には、貴社出身で、バブル崩壊後、見切りを付けて(実はかなり執拗な退職勧奨や嫌がらせを受け)技術士業に身を投じた方や、一念発起して技術士試験を突破した上、開業された方が何名かおります。
そして彼らは、社会一般常識から診て無駄な人材かというと、癖があったり、偏りはあっても、極めて優秀な逸材です。あらゆる物事を、極めて厳しい視点で診る私から診ても、彼らは、製品開発を担う設計者としては、極めて優秀な方々です。確かに製造業の経営者としてや、設計部署のマネージャとしては、難のある方々ですが。
このような彼らからは、退職せざるを、えなかったときの悲惨な思いを、酒の席などで度々聴かされており、貴社と当時の経営層には、強い怨念を持っていることを、把握しております。今残って、中心的に活躍されている後輩の皆さんには、特段の感情はないと思いますが、
そして彼らの手助けがない中で、貴社が取組んだ“ベテラン設計者達に帰属している暗黙知を形式知化”する作業は、本当に欲しい暗黙知を、殆ど取得でき無い結果になったと思います。なぜなら、その暗黙知の殆どが、彼らに帰属してしまっており、暗黙知を殆ど持たない残存メンバからの暗黙知引出と言う、行った作業が徒労に終わると言う結末に、終始したのではないでしょうか。
しかし、彼らに帰属している暗黙知は、彼らが担当した設計成果(図面・設計書などの各種設計資料、実際の製品など)に、間違いなく残っております。ですから彼らが行った設計思考のプロセスを、綿密に追ってやれば、あるレベル以上の設計者なら、彼らに帰属している暗黙知は、一般的には解明できます。一人では無理でも、3人寄れば文殊の知恵の方式で、解明がかなうはずです。そして私どもは、予てより提唱している“設計思考展開手法”を用いて、各所でこのような解明作業を実現して参りました。
貴社が犯した誤りの二つ目は、この部分に全く気付かず、恐らく余り御利益の無い“形式知”を、一生懸命に構築体系化してきたところにあると思います。
その他にも、いくつもの「オヤ」と思わせられる点が、お送り頂きました資料の中には見受けられました。私の印象としては、貴社に今現在ある程度の余力(差し迫って窮地に陥る可能性が小さい)があるのであれば、可能な限り速やかに、このあたりの仕切直しに着手すべきと考えます。
1 ご質問1の回答
私も商売ですから、詳しくは、具体的なご支援をご依頼頂いた時点で、レポートとして提出させて頂くつもりですが、簡単に気付いた問題点を列記致します。
2 ご質問2の回答
吝かではございません。私どもでよろしければ、喜んでご支援申し上げます。
3 ご質問3,4の回答
私どもが考える貴社仕切直しご支援(アプローチ)の概要
貴社仕切直しご支援で必要となるおおよその費用(別途詳細見積もりを、行わせて頂きます)
ご支援の所用期間(貴社の現状実態により大幅に見直しが必要となる場合があります)