CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

研究開発案件の洗い出しと絞り込みを効果的に行うには?


■質問■

<前略>

先日は、貴重なご講演を拝聴させて頂きありがとうございました。これまで自分たちが取組んできた様々な取組内容が、如何に場当たり的で、効果の薄い取組みであったかということを、反省させられると共に、今後何に取組むべきかの、良い指針を得られたことが、極めて有意義だったと感謝しております。

さて本日は、先日のご講演内容につきまして、若干補足のご教示を賜りたく。お問い合わせをさせて頂きました。

ご講演の中では、先生から「はずれの商品開発は必須で撲滅しなければならない」「しかも短期間且つ的確に商品開発を仕上げなければならない」「そのためには技術の引出に使える技術を的確に仕込んでおく必要がある」「10年先を目指した的確な技術の仕込みを弛まなく続けなければ駄目だ」「しかし使えない技術をいくら仕込んでも無駄でしかない」「はずれの研究開発は、製造業にとってはボディーブローのように後で強烈に効いてくる」「当然人材の仕込みも重要だが」などの言葉が連発されました。

それぞれのお言葉は素直に納得できますし、はずれのない商品開発には、フィジビリティースタディー、短期間且つ的確な商品開発には、フロントローディング設計、人材育成には人材力評価と個別育成カルテなど、具体的な対処方法をご説明頂きました。個々の取組みにつきましては、それぞれの取組みに掛かる際、先生から具体的なご指導を賜らなければ、一筋縄で行くような話ではないと、承知致しましたが、その方向性としては、我々が取るべきアクションを含めて、明確に理解させて頂きました。

しかし「はずれのない研究開発」「技術の引出に使える技術を的確に仕込む」部分の、具体的な取組みの方向性がよく見えませんでした。確かにお話の中では「10年後の自社(自事業)のあるべき姿を明確にして、その目標に至るための道筋を論理的に定める必要がある」などのお話はございましたが、具体的に我々がどのようなアクションを取るべきかがよく分りません。

何となく先生が御提唱されている「設計思考展開」を使えばよいのだろうと言うことは感じますが、どのような取組みを行えばよいのかが理解できず、お問い合わせさせて頂いた次第です。

<後略>

■回答■

私の拙い講演をお聞き頂きありがとうございました。

ご質問の件は、当日時間の都合で端折ってしまったのですが、このあたりへの取組みを、私は「技術の棚卸し」「技術の仕込み」と言う呼び方で、この20年来各所で展開をして参りました。

具体的には、以下のフロー図をご覧頂きたいのですが、自社または自分たちの事業体の将来(5〜20年・・商品の性格により区々)を的確に予測して、そこに必要となるであろう技術を洗いざらい洗い出す作業からこの取組みは、始まります。そして洗い出した技術アイテム毎に“論理的に解明できた既有の技術”か“経験則として持つ既有の技術”か“全く未保有の技術”かなどを、冷静且つ論理的に仕分けして、未保有の技術は、計画的に研究開発を行い、経験則でしかない技術は、その論理的な部分を明確にする取組みを行う流れになります。

当然、この必要になる技術の洗い出しが不確かなら、意味の無い技術開発を沢山行ったり、必要になる技術が全然仕込めていなかったり、という結果に陥ります。このため、この部分が極めて重要になります。しかしどの企業も無い袖は振れないわけで、可能な限り自社が持つ頭脳(私のような外部からの協力者も含め)を的確に寄せ集め、その知恵を縛り出すしか、その手立てはありません。

幸いにして我が国の製造業は、高度成長時代から、欧米の先進メーカから取得した技術を的確に解明して自分の物にするところから始め、世界に冠たる高い技術を誇る域にまで到達しております。これは、すでに現役を引退してしまった方々を含めると、極めて大きな知的財産をそれぞれ保有していることであり、それらを保有する人材力を含め、これらをフル活用することで、極めて精度の高い予測が叶います。

実際にこれまで私が手がけたケースでは、平均的に8割以上の精度で技術の仕込みが叶っております。





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