上で、設計者が行う設計行為を説明した。また表1や図1でこの段階で行わなければならない設計内容を述べた。さらに、質の低い“商品企画”が、3つの“大きな無駄”を生む原因の一つだとも述べた。これらの観点から診て、この段階での設計作業を、質高く円滑に進めさせることができる道具の要件を、以下に列記する。
本来の意味で言う、中核になる設計者達が、その知力や感性をフルに駆使して、最も設計業務に没頭する段階だ。そしてこの段階では、上で述べた、“考えて”“描いて”“検討・検証し”“やり直すか次の段階に進む”かを、ひたすら繰り返し、螺旋階段を上がるように作業を進めて行く。
ここで重要なことは、とにかく設計者達の思考を、途中で中断させないことだ。設計者が頭の中に描いた設計案を、具象化する段階でCADのオペレーションが分らずに、四苦八苦するなどとんでもない話だ。
従来製品に用いている部品が使えるか、検討しようとしてデータを持って来たのはよいのだが、原因は分らないが、そのデータが巧く操作できず、しかも設計作業中のデータまでおかしくなってしまったなど、決して許せることではない。
さらに、ほぼ全体形状を決めた基本構造の固有値解析を、余り深く考えずに実行させたら、いつになっても答えが返ってこないなども、笑って済ませる話ではない。待てる時間は、昔ならたばこ一服、今ならコーヒーを一杯飲んでいる間くらいで無ければならない。
このような観点から診て、この段階での設計作業を、質高く円滑に進めさせることができる道具の要件を、以下に列記する。