CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

加振周波数が一様でない製品の疲労破壊トラブルを要領よく排除する方法(フロントローディング設計実現の要、予測型設計確立のため)



■質問■

<前略>

先生のご忠告を受け、サブプライムローン破綻に起因する不況対策に先手を打って取り組んで、既に2年が経ちました。他社より一年も早くこの大不況に対する準備ができたのは、先生の的確なご助言の賜物と、弊社経営陣以下、意識ある者揃って感謝申し上げております。

景気動向を睨みながら、できるだけ早く先生のご指導を復活させようと算段しておるのですが、未だ不透明な先行き予測が余りにも多すぎ、財布の紐をゆるめるには行かない状況ですので、今暫くお待ち下さい。

一方、先生からご指導頂いておりました、商品開発改革や製造業力強化など様々な取組は、先生から頂きました提案書や、ご著書、考え方を記された資料類などを頼りに、ペースは遅いのですが我々自身で理解をしながら、この2年間徐々に進めております。

さて本日は、極めて初歩的なアドバイスをお願いしたいのですが、宜しくお願い致します。

先生にご指導頂いておりましたとき、専ら疲労強度予測を担っておりました@@がリーダーを務めておりましたチームが、現在消滅状態にあります。先生がお持ちになられていたノウハウを余らず伝承頂き、的確に疲労寿命を予測できるようになっていたのですが、私共の手抜かりで@@達の後任者をうまく手当てできないまま、彼らをさらに重要な役割に転身させてしまいました。

先生も常々おっしゃられておりましたよう、当時の@@チームは、本当に粒ぞろいの優秀なメンバーが揃っておりました。この度のような弊社存亡の危機さえなければ、彼らに同じ役割を続けてもらっていたはずですが、生憎彼らは、技術者としての能力だけでなく、製品開発リーダーや商品企画リーダー、さらには顧客と直接やり合うトップセールス(営業技術)として、その能力が期待できる者達ばかりでした。そしてその結果、背に腹は代えられないと、彼らの多くを、海外現法も含め我が社にとって要の部門へと供出せざるを得ない圧力が働き、結果、元@@チーム当時のメンバーとしては、2軍クラスの**と¥¥だけが現在は残っておるありさまです。

元@@チームのメンバーが減るに逆比例する形で、試作確認段階での疲労強度不良の問題が徐々に増える傾向がありました。そして決定的だったのは、@@の海外現法開発責任者としての転出です。これを境に、まるで雪崩を打つように疲労強度不良の問題が多発するようになってしまいました。

やむを得ず、@@はもとより、時間的に都合の付く元チームメンバー達に、メールや電話(テレビ電話も含め)を通じてフォローをしてもらっているのですが、それぞれが新しい任地で重要な役割を果たしている都合上、迅速な対応はとてもできない状況にあります。

@@に言わせると、「必要な情報は誰でも使える形で全て残してあるし、これまで日々何度も実場面で彼らにアプローチ方法を伝授してきた。」「しかしセンスの問題は、如何ともしがたい問題で、残された**と¥¥に取っては、@@チームで定常化できた技術では、レベル的に難しいのかもしれない。」「早急に後継者を育てる必要がある。%%や$$などがセンス的にも向いているはずだ。」「俺が転出するにあたりこの懸念は、技術本部長にも強く伝えてある。」と全てが想定内のようで、技術的に門外漢の私や本部長には、ほぼ結論だけ言われても十分に@@の提起を理解できないところがあります。

そこで@@チームを育てていただき、恐らく全てをご存じの先生にお教え頂きたいのですが、我々が陥っている状況は、何が悪くてこのような状況に陥っているのでしょうか。@@が言うようにただ「**や¥¥のセンスが悪いからだ」と言われても、彼らの何が悪くて、どのようなアプローチ方法に問題があり、現在のような状況に陥っているかが十分理解できません。

本来なら@@が、我々に分るようにかみ砕いて説明する必要があるのですが、先生もご承知のような@@の性格ですので、それも期待できず、お恥ずかしい質問をさせて頂きます。

また@@が申すように、早急に後継者を育てる必要があると考えます。@@が推薦する%%や$$は、先生に別なテーマでご指導頂いておりますので、彼らの能力を十分ご存じだと思いますが、彼らに@@の後釜を短期間で務めることができるようになりますでしょうか。また彼らの育成をなるべく廉価で先生にお願いできませんでしょうか。当然弊社の苦境脱出後、十分に埋め合わせをさせて頂く前提で。

<後略>

■回答■

貴社存亡の苦境にも拘わらず、私からの提案に基づいた様々な取組を続けて頂きありがとうございます。また過日の私からのアドバイスにつき、ご評価を頂き恐れ入ります。

さて頂きましたご質問、いくつかの切り口でお答えした方がたぶんご納得頂き易いと思いますので、以下に列記致しますようなお答えしやすい順に、それぞれをご回答申し上げます。

  1. %%さんや$$さんは、@@さんの後釜を短期間で務めることができるようになるか
  2. %%さんや$$さんの教育を私が廉価でお受けできるか
  3. @@さんが抜けた後、何が悪くて貴社の現状に陥ったのか
  4. 加振周波数が一様でない製品の疲労破壊トラブルを要領よく排除するにはどのようなアプローチが必要か


ご質問1 %%さんや$$さんは、@@さんの後釜を短期間で務めることができるようになるか

はい可能だと思います。私の教育次第かもしれませんが。

私の知る限り、その素養的には%%さんは最適任者です。しかし彼にはどちらかというと開発設計者達のサポート的役割に、甘んじざるを得ない旧@@チームのメンバーになるより、開発設計者として広い範囲でその能力を発揮してもらうべきだと思い、私がお手伝いしている際には@@チームのメンバーとしては推薦を致しませんでした。また%%さんと@@さんの相性の問題もあると感じておりましたので。

しかし@@さんが転身した後の後釜がおらない状況では、%%さんをその後釜に据える選択は最も賢明な選択と考えます。@@さんの後釜に期待されていることを、本人が納得承知さえできれば十分にその役割を果たしてくれるでしょうし、@@さん以上の働きが期待できます。

$$さんも%%さんに劣らない素養をお持ちです。強いて欠点を挙げれば、結局は同等の判断に至るのですが、判断に至るまでのスピードが%%さんに劣るところでしょう。しかしロジカルに物を詰めると言う意味では、%%さんは直感的(頭の中で直感的に論理的な思考ができる)なのに対して、$$さんは綿密にステップを踏むタイプです。ですからこれまで%%さんは、時々大チョンボをやらかしていたはずですが、$$さんにはそれがなかったはずです。お互いが自分の特性を冷静に理解してカバーできあえば、きっと良いコンビになれるのではないかと思います。


質問2 %%さんや$$さんの教育を私が廉価でお受けできるか

はいお受け致します。と申しますか、貴社業績回復時に残りの2/3をお支払い頂くことをお約束頂き、直近では正規料金の1/3でお受けさせて頂きたいと思います。

また、貴社から弊社までは車を飛ばせば一時間以内でアクセスできますので、私のスケジュールに合わせ、なるべく弊社に対象者の方々がおいで頂く方法をとりますと、さらにお安くすることも可能です。

尚教育対象者ですが、今後のことを考えると、どうせ教育を行うのなら$$さんと%%さんだけではもったいないと思います。恐らく現状の貴社業績ですと、開発案件が減り、開発設計者や研究者達にはかなりの余裕があるはずです。この際中堅・若手も含め一挙に表記技術を持ったメンバーを増やすべきです。

行く行くは、以前から私が申しておりますように、主要な開発設計者自らが表記技術を駆使した予測型設計ができる態勢へと体力強化を図るべきですので。

このような観点から考えたとき、割合暇な今が絶好のチャンスのはずです。教育対象の人数が増えたからと言って、私に費やすコストは大きく変わりません。しかも貴社にとっては、アウトプットに結びつかない固定費(給与)の、先を狙った有効活用(仕込み)の取組になるはずですので。


質問3 @@さんが抜けた後、何が悪くて貴社の現状に陥ったのか

恐らくという私の推定になりますが、**さんや¥¥さんは、加振周波数が一様でない製品の疲労破壊トラブルに対する予測設計が、適切にできていないのだと思います。

たぶん彼らの問題に対するアプローチステップや表面的な処理、そしてその成果物は、@@さんがおられたときと何ら変わらない、同じように見える内容の物だと思います。@@さん達が必死になって情報の共有化やアプローチの標準化を図っておりましたので、それらの資料に従って淡々と仕事を行ってゆけば、見た目は同じような内容のアプローチであり成果物になりますので。

しかし表記問題へのアプローチは、かなり高度な振動知識をベースにした、対象機械や対象部品のメカニズム把握が重要なキーとなります。見た目や帳票上、予測型計算モデルの妥当性を評価する実験モデルとの振動特性が一致しただけでは、十分な予測型設計は叶いません。見た目だけではなく、対象機械や対象部品のメカニズムが的確に表現できた予測型計算モデルが確立できていなければ、その予測シミュレーション結果は、単なる絵に描いた餅にしか過ぎないからです。

そして、かつての@@チームが、私の知らぬ間に一軍と二軍分けされていた理由は、このポイントにあると思います。**さんや¥¥さんには、見かけや帳票上の数値を追うことはできても、的確にメカニズムまで入り込めない欠点がありました。私がご支援申し上げていたときも、このような弱点を強く指摘し、彼らには辛い思いをだいぶさせた物です。おそらく@@さんが指すセンスもこのポイントだと思います。

ですから、**さんや¥¥さん以外の素養を秘めたメンバーを、改めて教育を行う選択は正しい選択と評価できます。


質問4 加振周波数が一様でない製品の疲労破壊トラブルを要領よく排除するにはどのようなアプローチが必要か

まず大原則から申し上げます(鉄系を中心とする金属材料を主とする機械製品の場合と限定して)。

振動に起因する疲労強度の問題は、加振周波数が限定される場合には、機械構造として、共振点付近に*******

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