CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

機械のメカニズム、機械に働く様々な物理現象が的確に把握でき、対象機械に起こるであろう問題点が的確に予測できなければフロントローディング設計は無理



■質問■

<前略>

弊社でも競合他社に遅れてはならないと、フロントローディング設計体制確立への取組を行っております。

特に設計者向けのCAEを用いた予測型設計に力を入れ取り組んできたのですが、最近予期せぬ壁に突き当たり、どのようにその壁を打破すべきか思案に暮れております。予期せぬ壁とは、我々のメンバーが用いるCAEソフトが出す解の不確実さです。

このような事情で、藁をもすがる思いで、大分前に購入し一度目を通しただけでしまい込んでいた先生の御著書、「CAEによる設計の改革術」を引っ張り出し、この土日に熟読させて頂きました。

そして、「CAEとはさみは使い方次第」、「機械の物理構造、機械に生ずる物理現象を的確に解きほぐし、モデル化して初めて正しい解が得られる」、「モデルに何らかの妥当性検証がなされていないCAE解析結果など絵に描いた餅」などのお言葉を拝読し、当社の状況が先生が発しておられる警告の状況に陥っているのではないかと危惧して、ご相談のお問い合わせをさせて頂きました。

弊社がチャレンジしている予測型設計のスタイルは、3DCADでモデル化された設計構造に対して、ベアリングやボルト支持などの条件を設定して行う構造強度の確認と、共振を避けるための部品個々の固有値解析がその9割以上を占めます。

ところが、かなり綿密に事前確認(CAEで)を行ったはずにも拘わらず、試作段階で予測と異なる現象が生じ、一向にフロントローディングになりません。

例えば強度の問題では、CAEで予測して強化を行ったと全く異なる部位で高応力部分が生じたり、変形形状が予測と全く異なり、実際に機械を動かしたときに部品が干渉するなど散々な状態です。また固有値解析の結果も、その固有振動数が一割程度の誤差で済むなら未だましで、全く異なる固有振動数や振動モードを実験結果で初めて把握できる始末で、振動問題についても結局一度試作品を作ってから、問題点を潰し込むという従来型のアプローチを一向に改めることができません。

一部のベテラン(先生が言われるスーパーエンジニアとかつて言われていた)に言わせると、「あいつら機械のメカニズムを正しく理解できずに、シミュレーションのまねごとをしている。俺の梁モデルやバネ・マスモデルの方がよっぽど良く当たる」と、身も蓋もありません。

一方コンピュータや数学に拒否感の薄いベテラン勢は自らCAEの操作をして、もっともらしい解析結果を元に上記ベテラン勢と張り合う物ですから、どうしても先生がおっしゃられる「何らかの妥当性検証がなされていないCAE解析結果」が十分な吟味もされず、試作まで突入してしまうことになります。若手や中堅も同様です。

詳しくは、一度先生にご来社頂き弊社の状況を把握頂いた上でご助言を頂きたいのですが、これまでの先生のご経験の中で、弊社のような状況の製造業はございましたでしょうか。また先生にご助言、その後のご指導などをお願いした場合に、どれくらいの期間と費用を見込めばよろしいでしょうか。

<後略>

■回答■

貴社のような製造業にも沢山遭遇しております。

そしてそのような経験と、頂きました情報から察するに、貴社では開発対象となる機械のメカニズム、そのメカニズムを構成する原理原則、さらにその機械に働く様々な物理現象、さらにその結果生ずる物理的な挙動等を的確に把握し、継承・共有する文化が無いのではありませんか。

CAEツールによる解析結果を検証するにあたり、これらを的確に把握できて居らないと、解析結果の検証そのものが机上の空論に陥ってしまう危険性があります。またご利用なされているツールも余り感心致しません。ツールが条件設定などを勝手にやってくれるCAEツールですと、訳が分らないまま解を得てしまい、さらにその解を理解もせず、検証や吟味もせず設計に反映してしまったのでは、フロントローディングに成らないのは当たり前です。

一方ベテランのスーパーエンジニア達は、自己が持つ固有技術やノウハウの継承に努力をしておりますか。後輩達の体たらくをせせら笑っているのではないのですか。特に開発エンジニアとしては一流で、これまで様々な貢献を行ってきたのにも拘わらず、マネージャとしての能力が欠けるため、納得の行かない処遇を受けておられる様な方が、未だ残っておられるようでしたら、きっと皆さんの四苦八苦を鼻でせせら笑っているに違いありません。

過去160件を超える国内企業の“現状診断”を行って参りました経験に基づく、私の直観が外れているのであればよいのですが、もし当たっているとしたら、貴社の状況は極めて重篤な状況にあると言えます。貴社が過去延々と積み重ねてきた蓄積を食い潰している状況と言えるでしょ。

ご質問には、貴社が私の直観で感じた状況にあるとして、期間経費などの概算を下記させて頂きます。当然、私の直観に比べ悪さ度合いが少なければ少ないほど、期間や費用は少なくなって参ります。

参考情報

貴社が私の直観通り状況だった場合の、助言・支援料金・期間概要

  1. 弊社が貴社の大まかな現状を把握し、以降の取組をご提案申し上げる目的で、貴社の現状をお聞かせ頂く(主たる設計者、設計幹部、役員・部長クラス)とともに、特に重要な問題点や対処法を助言する
  2. 弊社より貴社フロントローディング設計態勢確立に対する、大まかな全体計画と具体的なお見積もりの提出
  3. 貴社の現状の問題点を漏れなく明確に把握する、“現状診断”(予備診断→本診断→整理・分析・現状打破計画立案→ご報告)実施。具体的には、貴社の一線担当者及びそのマネージャ達に、直近5年間に行った開発案件の開発着手からクローズまでの顛末を事細かに聞き取るとともに、営業・ものづくりなどの部署から反面情報を聞き取る。聞き出したこれら情報を基に、160件を超える弊社の現状診断の分析ノウハウを駆使して、問題の本質を探り出すとともに尤も効率的と思われる改革案骨子を策定し、ご報告申し上げる。
  4. 確実に実行可能な実施詳細計画案を立案
  5. 実施詳細計画に従い淡々と体質強化への取組を行う

貴社フロントローディング設計態勢確立に必要となるおおよその費用(別途詳細見積もりを行わせて頂きます)

  1. 200万円〜(旅費・実費・消費税別途)、2日
  2.  1に含む
  3. 2,500万円〜(旅費・実費・消費税別途)、3ヶ月〜
  4.  3に含む
  5. 1,200万円/年〜(旅費・実費・消費税別途)、少なくとも3年程度見込んでください