<前略>
景気が急激に冷え込み、開発案件が大幅に削減された昨年秋以降、景気回復時の競合他社に先駆けたダッシュを可能とすべく、若手設計者及び物作りに関係する若手技術者の技術力底上げの取組を行って参りました。
これまで弊社の若手育成方法は、先生にもご指摘頂いておりますが、徒弟制度にも似た「先輩の仕事を見て、実際の仕事を通じて覚えろ!・学べ!」的な全くシステム化されていない方式が、実質的な主流を占めておりました。
一昔前の先生の診断など機会ある毎に、“こうあるべきだ“な的な若手社員育成のための方針やルールが策定され、現場にはその周知徹底が要求されて来たのですが、ほとぼりが冷めると、いつの間にか下火になり、いつの間にかなし崩し的に元の状態に戻ってしまうような、悪循環の繰り返しを行って参りました。
先生にご指導を仰いでの取組時も、他の取組は、それぞれ成果が出るレベルにまで到達できたのですが、この教育の問題だけは結果的に途中で頓挫の結果に終わっております。先生にご来社頂いている間はまだ何とか続いておりましたが、取組全体での定量的成果が見られ、先生の来社が無くなったとたん、霧散してしまったような状況です。急激に忙しくなり教育どころではなくなったと言う事情もありましたが。
そして今回改めて仕切直しを行うべく、先生から当時ご提案頂きましたアプローチをベースに、入社初年から各年度ごとにクリアーしなければならない関門を設け、若手設計者各人の自己評価と直属上司の評価を元に、研修カリキュラムを設ける仕組みでシステマティックに育成できるような仕組みを目指しました。
具体的には半年毎の達成目標に、例えば機械材料をマスター、CAE操作をマスター、金型知識をマスターなどの目標設定を立てさせ、各自それぞれの研修を行わせる仕組みです。
そして各研修項目に対応すべく、これも先生のご提案を基にして、自称・他称その道の専門家(主にベテラン設計者)達に教育講座を設けて貰い、可能な限り我が社にある固有技術や継承技術が的確に若手に継承できる仕組みにも仕上げたつもりです。
さらに社内に対象になる技術のプロがいない場合は、出入りのサプライヤー等に声を掛け、その道のプロに来社を仰いでの講座も多数設定致しました。また対象人数が少ない場合には、外部のセミナーや公的機関が開設している講座なども活用して参りました。
本来なら先生にもお出まし頂き、いくつかの講座をお願いしたいところでしたが、経費節減のおり、なるべく費用のかからない方法での取組となりました。
そしてこの6月末、最初の半期分の進捗状況データが収集でき、その分析を行ったのですが、その結果は、私共が期待する物とは大きくかけ離れた低調な結果でした。対象者本人の自己評価は、完璧まで行かない物の、大幅に進歩できたと言う結果が大多数を占めているのですが、その上司や各講座の指導者達の評価は、余り芳しくありません。特に講座の指導者達の一部からは、「あいつら本当にやる気があるのか、時間の無駄遣いだ」などの批判も挙がる始末です。
そこで一連の目論見書や、実施計画から結果の取り纏めまでの一連の資料を、別途宅急便でお送り致しますので、お目通しを頂き、我々の取組の良否、否の場合には何をどのように変えれば良いのかなどをご評価頂けますと幸いです。
当然ご評価・ご助言頂く際の費用は、お支払いさせて頂くつもりでのお願いですので、資料類にサッとお目通しを頂きましたうえ、折り返しお見積もりを頂けますと幸いです。
なおご案内のように弊社の状況は未だとても厳しい状況で、本来ですと外部への費用流出は許されないところですが(特に先生の場合高額ですので)、この度の結果を副社長に報告致しましたところ、「先生のご助言を頂け!、あの時お前ら先生の言うことを聞かなかっただろう!」の一喝を受けてのお問い合わせです。とは申しましてもなるべく安くお願い申し上げます。
<後略>
ザッと目を通したところで一つ大きな問題点を把握しました。実は十数年前に提出させて頂きました、私の診断報告書中でも必要だと書いてございますし、途中段階での評価でも指摘申し上げたと記憶致しますが、若手設計者一人々の現状把握が抜けております。
確か当時私がご支援申し上げた取組では、教育問題以前に集中的にご支援申し上げなければいけない問題点が多くあり、費用との絡みもあり、若手設計者育成については、オブザーバー的な立ち位置でのご支援だったと記憶致します。
このような事情や、他の問題点がとても難しい案件だったこともあり、 “設計者一人々の現状把握”がなぜ必要なのか、私からの皆さんに対してのしつこい説明もなく、いつの間にか皆さんの頭の中から忘れ去られてしまったのではないかと思います。
当時は、私の手持ち手法の中で、若手設計者育成のアプローチ方法は、未だ充分に体系化できて居らず、概念的な“あるべき姿”を全面に押し出したご支援方法だったと思います。このような事情もあり貴社ではオブザーバー的位置づけに甘んじておりました。
しかしその後各所で、若手設計者・若手技術者の育成の取組を行い、10年ほど前には以下に示すようなアプローチ手法を体系化しており、各所で数々の成果を残して参りました。
ですから、ご依頼頂きました貴社の取組に対する評価・助言は、その後私が蓄積致しました経験を基に、喜んで行わせて頂きます。
参考情報@
若手設計者・技術者の育成方法の考え方
参考情報A
おおよその費用