<前略>
先日来社頂きました際に、本来のご予定には無かった開発設計者達に対してのQ&A(ヒアリング)にご対応頂きまして誠にありがとうございました。参加者達は大変参考になったと皆喜んでおりました。
さて、当日の先生から頂きましたコメントは、当人達が今後様々な取組を行って参る際の、大きな道標になるであろう事は十分承知致しますが、正直私にとっては何か物足りない思いが残りました。
当然正規のコンサルをお願い申し上げているわけではございませんので、もっと何かありそうな先生の物言いはごもっともですし、コンサル先でもないのに厳しい物言いをして参加者達を不愉快にさせる必要も無かろうとご判断をなされるのも至極当然な事だと思います。
しかし一方私の立場では、近い将来訪れるであろう景気回復を見越し、他社に先駆け先手を打ってゆくためには、我々開発設計部署が今後どのように変わってゆかなければならないかを模索しており、そのヒントになる投げかけを期待しておりました。そして締めくくりの私からの質問となった次第ですが、先生からは「コンサルのご注文を頂いてからしっかり述べさせて頂きます」と剣もほろろなお返事を頂いてしまいました。
そして、先生がお帰りになられてから、中心メンバーが残り、今後先生にお手伝いをお願いしてゆこうと言うことで合意し、早速上層部に上申致しましたところ、概ね承諾をもらえたのですが、「当社の製品開発の何が問題なのか、その最大の問題点を事前にお聞きするように」と、まさに先日私が質問させて頂いたと同様の内容を先生に事前に確認するよう指示されてしまいました。
つきましては、厚かましいお願いですが、要点だけで構いませんのでお答え頂くわけには参りませんでしょうか。
<後略>
最大の問題点は“稼げる商品開発体制”ができていないことです
先日、貴社の商品開発設計者達の質問を受けながら、貴社の商品開発に関しての様々な実状を逆質問させて頂きました。そして頂いたお答えから以下に列記するような、極めて基本的な事項について、基本的な仕組み作りと意識作りができていないことを把握致しました。正直、“開いた口がふさがらないほどの驚きの内容”でした。
短時間での現状把握でしたので、十分に貴社の現状を網羅できてはおらないかもしれませんが、私の永年の経験に基づく嗅覚から判断してもそう大きく外れていない問題点把握だと思います。
@“稼げる商品開発体制”ができていない
一部列記しただけでも無管理状態の商品開発体制と言わざるを得ない実態があります。
不況突入前の原材料価格の上昇は、貴社の収益に大きな打撃を与えていたと思います。そして不況突入による大幅な売り上げ減少は、上記したような無管理の製品開発態勢では、当然のこととして工場を動かせば赤字が出る状況を生み出し、その結果が3月時点に行われた大幅リストラだと理解致します。
戦略的にコスト割れを承知で、肉を切らせて骨を切る的な、戦略営業に基づく判断での一部商品に赤字が出る状況であるなら、特に厳しい現経済環境下ではやむを得ない判断とも言えるでしょう。
しかし貴社の現状は、この期に及んでも場当たり的(営業マン任せ)営業行為と、個人プレーを黙認された商品開発設計者達の、出たとこ勝負の、丼勘定的新商品開発がその実態であり、年度末に〆てみなければ、赤なのか黒なのかが見えない状況での、まさに暗中模索・五里霧中の商品開発を行っていると言えるでしょう。この状態では戦略的な商品絞り込みもできないだろうし、ひいてはメリハリの効いた資金投入や人材配置など到底無理の状態と考えます。
さらに始末が悪いのは、アイテム毎の実収益が誰の目にも見えないらしいことです。年度末に帳簿を〆て見たら、大赤字という事態に陥らないとも限りません。最低限月次で、全体の実収益(実損益)、アイテム毎の実収益(実損益)を、見ること(把握すること)が出来る状態を早急に構築すべきと考えます。
Aそのほか重大な問題点(詳しくはご依頼を頂いてからご報告いたします)
(ご参考)
誤)剣もほろろ
正)けんもほろろ
けんもほろろの“けん”とは、雉の鳴き声のことです。ちなみに“ほろろ”もやはり雉の鳴き声です。ですから“けん”を“剣”と書かれるのは適切ではありません。・・・余計な物言い済みません。