<前略>
先日はお忙しい中ご来社頂き、私共の様々な疑問にお答え頂きありがとうございました。
さて当日は、他のコンサルタントの方々もおられたせいだと思いますが、随分奥歯に物の挟まったようなコメントが、先生のご発言に感じられました。本来ならそれぞれコンサルの方々毎に、先日のような機会を設けるのが筋でしょうが、弊社トップの鶴の一声であのような中途半端な状況にならざるを得ず、誠に申し訳なく思っております。
そして当日皆さんがお帰りになられた後の反省会では、あのような設定では、先生方の忌憚のないご指摘が充分のお受けできなかったのではとの意見が大勢を占めました。特に先生は、「何か大きな問題点に気付かれておられるようだが、ヒント的なご指摘は頂けたのだが、他の同席者の手前はっきり仰って頂けていない部分がたくさんあるのでは」と言う声がトップ始め大勢を占めました。
つきましては、後日改めてご来社頂き、当日先生がお感じになられました御忌憚のないご感想をお教え頂けますと幸いです。
尚、先日おいで頂きました際には、弊社にとって今後お付き合い頂くコンサルタントの方を絞り込む目的もあり薄謝でのお願いを致しましたが、今回のお願いは先生の正規の料金で申し上げる所存でございます。つきましては、この度のお願いに際してのお見積もりを併せて頂けますと幸いです。
<後略>
詳しくは当日私が把握できた問題点をパワーポイントの資料に纏めご説明致しますが、簡単に当日はっきり申せなかった代表的な問題点を下記致します。
貴社のこれまでの状況(バブル以降の二十年余り)は、行ってきたあらゆる部分での改革改善や、前に向かって進もうとする取組が、絵に描いた餅で終わってしまい、“結果として行われていなかった”、と言う一言に尽きると思います。
バブル以前高度成長期に積み上げた、「過去に積み上げた技術蓄積を食いつぶし切ってはいないか?」との印象が様々な側面から感じられました。
恐らくこのような評価を下すと、「技術研究所や様々な共同研究などを活用して、しっかりした設計手順を確立してきた」「様々な要素技術における技術蓄積を行ってきた」などとの反論が出ると思います。
しかしこれらの折角の取組も、残念ながら現役設計者達が駆使できる技術としての伝承が出来ておりません。彼等から受けたこれらに関わる様々な説明は、機械のあるべき姿や物理の法則に則った原理原則が、ブラックボックス化された結果でしか語られませんでした。そのため、このような判断を下しております。
詳しくはおじゃまさせて頂いたときにお話し致しますが、例えば設計者育成と言うポイントで診たとき、元々素養を持っていると思われる若手中堅設計者達が貴技術部には、少なからず存在すると思います。しかし当日受けた印象では、本来ならもっと成長して然るべき彼等の成長が決して芳しい状態にあるとは思えません(私がこれまで各所で関与した様々な製造業と比較して)。
又彼等が行っている設計アプローチも、本来設計者に求められる、「自分たちの機械を隈無く熟知して、機械のあるべき姿を追い求め、物理の法則に則った原理原則を理解した上で、科学的な設計アプローチを行う」のではなく、ただ闇雲に“作って”“壊して(問題を出して)”“考えよう(闇雲の虱潰し)”を繰り返している様に見えました。
さらに科学的な設計アプローチや的確な問題解決に必須なはずである、統計手法なども用いられて居らず、と言うより知らないといった方が妥当な状況です。一部にCAEシミュレーションを用いようとしている若手がおりますが、的はずれなモデル化を行い、その結果が期待できる物でないと言うことで、「使い物にならない」などと言い切れる側面からも、残念ながら設計者達が的確に育成されてきたとは言い難い状況があります。
この事例に限らず、あらゆる部分で問題ありと感ずる状況が貴社の現状にはありました。そしてその中でも最大の問題点は、勝ち抜く製造業という視点で診たときには、“市場を睨む目の欠如”“稼げる商品開発への意識の欠如”“設計実現力の欠如”“垂直立ち上げ力の欠如”“問題解決力の欠如”と言う重大な課題です(ご反論があると思いますが、なぜそう感じたかは当日詳しくお話し致します)。
余談ですが、製造業の本分は、「常に“旬でよく売れる商品”を開発し続けて、これで稼ぎ続けることである」と私は定義しております。すなわち「全世界の顧客ニーズにマッチした、安全で高品質且つ適正価格な製品を、より短期間且つ低コストに開発できる実力を持ち、常に安定した商品開発と製品供給が叶うこと」が、勝ち抜ける製造業に求められる要件だと理解しております。このような観点に立ったときに貴社の現状に強い問題意識を抱く次第です。
又費用的には、分析資料作成費用を含め二日分120万円(消費税・諸経費・旅費別)でお願い致したく、宜しくお計らいの程お願い申し上げます。