<前略>
早速のご回答ありがとうございました。フロントローディング設計要員としてのCAE技術者の確保は安易な考えでは駄目だという事は理解できました。しかし一方先生から提示された「フロントローディング設計を担う、CAE要員の要件」は極めて厳しい要求であり、現実的には実現不可能な無い物ねだり的な要件に思えてなりません。
なぜならば、このようなCAE技術者を手駒の若手設計者達を教育して自前で確保しようとしたときに、教育の対象になる適任者がいないのではないかと言う問題があります。
改めてCAE教育を施すのは無理にしても、もし若かったら先生の要件を満たすことができるであろう資質を持つ設計者を、ベテラン勢にまでその範囲を広げて見渡して見たのですが、現在吾が部を支えてくれているほんの数名に留まります。
私の目から見て可能性を持つ若手設計者が皆無と言うことは、現実論として無い物ねだりという結論になってしまうわけです。
先生は30社あまりで「フロントローディング設計を実現するために、CAEを活用できる設計者育成」を行って来られたとのことですが、どのような人材をピックアップしてどの様な教育を施されたのでしょうか。
<後略>
CAEを使うか否かは別として、本来設計者が求められる能力には、「対象機械のメカニズムを解きほぐし、よりシンプルなモデル化ができる」「的確に対象機械に働く物理現象を把握し、的確に等価な条件を解析モデルに付加できる」「得られた結果を読み、その妥当性を評価でき、そして設計に反映できる」が必須の要件としてあるはずです。
そして設計作業を進めてゆく上で用いる(用いなければならない)各種解析(四則演算、電卓、各種工学式など)は、上記要件を的確に満たせていない限り、設計に役立つ解析行為には結びついていないはずです。
貴部署の若手設計者達が、その経験年数に応じた設計者として、順当(理想的)に育っているのであれば、上記要件は、少なくとも経験4年以上の者には備わっているべきです。もし育っていないとするならば、貴部署における設計者育成方法に何か問題点(大きな?)があるのではないかと考えます。
しかし160件を超える現状診断を行った経験から申しますと、あらゆる製造業が順当に設計者達を育成できているかと問われれば“否”です。私の厳しい評価基準では、巧く育ててきたと言えるのは、僅かに一割程度しかございません。
バブル崩壊以降のなりふり構わない生き残り策や、円安バブルに安易に寄りかかった企業体質強化怠ってきた各製造業の経営姿勢にその原因の殆どがございました。突き詰めれば多くの場合、“開発部門への優秀な人材の供給や人材育成の余力を与えてこなかった経営側の責任“が問われる問題です。
しかしだからといって、何とかしなければフロントローディング設計態勢は実現できない訳で、私が手がけた「フロントローディング設計を実現するための、CAEが活用できる設計者育成」の多くは、このような状況からのスタートでした。ですから貴社の現状からでも、よほどのことが無い限り、「フロントローディング設計を実現するために、CAEを活用できる設計者育成」は実現可能と考えます。
さてご質問の「どのような人材をピックアップしてどの様な教育を施されたのでしょうか」ですが、これは一概にはお答えしようがございません。事実これまで私が手がけた30件余の取組は、千差万別で、それぞれ対象設計部署の現状や企業文化を充分に配慮した取組でした。
しいて申すならば、ピックアップした人材は、設計センス、メカエンジニアとしてのセンスが高いと思われる人材を私が直接面談の上ピックアップいたしました。
又育成に関しての考え方は、私のホームページに過去様々な切り口で膨大な件数の記事を掲載しておりますので参照下さい(是非一日時間を空けじっくり閲覧下さい)。
なお閲覧頂きたい内容の殆どは、私のホームページの会員にしか閲覧できないようになっております。**さんには、今後私どもに“現状診断”のご依頼を頂けるであろう事を前提に、一週間限定のユーザーID、パスワードを発行させて頂きます。