<前略>
2年ほど前から先生のご講演や御著書を参考に弊社でもフロントローディング設計にチャレンジしております。
製品現物から機械の特性を把握したり、設計者達がもつ設計知識をDPDを用いて体系化する作業は、進みはゆっくりですが着実に整いつつあります。しかしフロントローディング設計の要であります、CAE技術を用いた予測型設計の部分で壁に突き当たった状態にあります。
弊社でCAEを最初に導入したのは20年以上前になるのですが、様々ないきさつがあり、CAE技術者の定着が極めて悪く、都合が悪いことに現時点ではまともにCAEを使える人材が皆無の状態です。
先生の御説に従い、設計者達に直接CAEを使わそうと様々な取組を行って来たのですが、自らCAEを使ってほしい設計者達は忙しさを理由に「CAEなど使っていたのでは時間がいくらあっても足りない、また未熟な我々が出す答えなど安心して使えない」等、様々な理由を付け逃げ回っております。
確かに身近にいてアドバイスしてくれるCAEのプロもおらず、CAE販社のサポート達も、導入教育程度なら良いのですが、実際の問題に直面するとまともな対応をしてもらえませんので、彼らが逃げ回ることも無理からぬ状況かと思っております。
一方我が国の経済状況は最悪な状況にあり、学生時代の友人などからちらほらリストラの声が聞こえて参りました。弊社とて例外ではないのですが、これを好機と捉え、CAEのプロをリクルートできないかと目論んでおります。
そこでご助言頂きたいのですが、弊社のような目的でCAE技術者を確保する場合には、どのようなポイントに注意したらよいのでしょうか。また私どもが考えておりますCAE人材確保のチャンスという考え方は、誤っておりませんでしょうか。
<後略>
人材確保に際しての注意事項は表1を参考にしてください。
しかし私が表1に挙げた要件を備えているCAE技術者は、我が国全体を探してもそう多くいる物ではありません。以前に勤務していた会社時代も含め都合30年間で、私が育て上げてきた人材の中には、少なからずこのような人材は育っておりますが、彼らの殆どは、それぞれの企業内で重用されておりますので、倒産などよほどのことがない限り彼らを確保する事は難しいと考えます。
一方20年近く前、バブル崩壊の折、「不要不急の組織」、「企業業績に寄与できない組織」として槍玉に挙げられ、様々な製造業の技術電算部署から大量に自称CAE技術者が放出されたことがあります。
当時私は、将来を見据えた複数製造業と、放出された彼らの中に役に立つ人材はいないかと、数多くの方々と面接を行ったのですが、残念ながら表1に示すような私の価値基準をクリアーできる人材はおりませんでした。
数人に対しては、「教育をすれは何とかなるだろう」と言う、支援先企業の意見を取り入れ数年の教育を行ったのですが、未だ染まり方の浅かった20代の若手を除き、自称CAE技術者の垢にまみれていた方々は、残念ながら使えるCAE技術者には変身できませんでした。
このような結果から判断すると、2番目のご質問「CAE人材確保のチャンスという考え方」は、必ずしも正しい判断だとは思われません。しかも、私が開業以来160件を超える様々な製造業の事業部署で実施した“現状診断”結果では、私が定義するようなCAE活用人材は殆ど育っておりませんでした。この面から見ても、今がチャンスだとは言えないと思います。
と言うことで、
やはり地道に若手設計者達を育てるしかないと思います。過去貴社と同じような状況下の製造業で、CAEを活用できる設計者育成を行ったケースは既に30件を超えております。
費用的には決して安くありませんし、現状のような経済環境下ではなかなかお勧めもし辛いところもありますが、私どもにご依頼頂ければ短期間(最短3年程度)での育成をお受けすることも可能です。