<前略>
弊社では、この不況により大幅に増加した余剰工数を活用して、それぞれ部門毎の体質強化に取り組もうとしております。そして私の担当する商品企画・設計・研究・試作・実験部門でも、画期的な製品開発力保有を目指し、徹底した体質改善を行おうと考えております。
しかし冷静に現状(私の配下を)を見たとき、かつて一世を風靡した弊社の技術力は、寂しい限りの状況にあります。
20年近く前に遭遇したバブル崩壊不況期には、弊社にとってはその存亡をかけたなりふり構わぬ生き残り措置を取らざるをえず、固有技術を持った多くのメンバーが退社を余儀なくされてしまいました。
一方バブル期に大量採用した年代が本来なら中核の役割を果たしているはずなのに、未だに頼りないの一言に尽きる状況で、残り少なくなってしまったベテラン勢が老骨にむち打って実務業務を取り仕切っております。
言訳は山ほどありますが、技術継承を確実に行えなかった私たちにその責任はあり、その意味でも私が引退する前に、競合他社に決定的な差を付けた画期的な製品開発力を復活させようと言う次第です。
このような次第で年初より様々な文献を読みあさり、また暇を見つけてはネットサーフィンを続け様々な情報や考え方を会得しようと努め、それらを参考に弊社ではどのような進め方を行うべきかの構想を練って参りました。そしてその結果現時点で一つの大きな壁に突き当たった状態にあります。
これまで私たちの経験では、自分たちの部門を見つめ直し、短期間で徹底的にブラッシュアップするような取組の経験は、正直言ってございません。そこでかなり早い時点から、先生も含めこのような取組に経験が豊富なプロの手を借りようと目論見、トップ層に対してもさりげなく刷り込みを行って参りました。その結果、外部のプロの手を借りることに関しては、概ね承諾が取れたと認識しております。
しかし実際にどこに頼むかと具体的に候補を探し始めたとき、大きな問題があることに気づきました。
時代はだいぶ遡りますが、30年以上前にオイルショックの大不況がありました。その直前までの高度成長期には毎年数十名の新入社員が私たち開発部門に配属されて参りました。ところがオイルショック以降数年間新入社員の供給はほとんど無く、高度成長期の十分の一程度の配属がコンスタントにされるようになるまでには10年近くかかったと記憶致します。そしてまもなくバブル期が訪れ、上記したような状況に至ります。
このような状況にもかかわらず、好況期の開発ラッシュ、不況期の生き残りをかけたリストラの繰り返しにかまけて私の前任の責任者達は、システマティックな技術継承や人材育成策を、残念ながら放置して参りました。
その結果、弊社の開発現場では論理的に物事が整理できない、根拠の薄い経験則と声の大きさが幅をきかす、中小企業状態にあります。
さらに年代毎人数の極端な差は、年代毎の上下関係を際だたせ、能力の低い先輩が優秀な若手を潰してしまったり、取り返しの付かない人間関係を生じさせてしまっている状況です。
一方同年代同士の内面での対抗意識は強く、口では全体最適化に異論を出さないのですが、各論にはいると陰での異論、サボタージュと目に余る状況があり、正直言って一筋縄では行かないどろどろの状況があります。
このような状況下での開発部門の画期的な体質強化に外部のコンサルタントに支援をお願いしても、表面的な問題点だけをあげつらって、能書き的なあるべき姿と、現状を無視した取組内容を要求され、結果「後は自分たちでやりなさい」などという結末になるのではないかと恐れております。
そこで先生にお尋ね致しますが、これまでのご経験で弊社のような状況からの体質強化に成功された事例はございますでしょうか。また具体的にご支援をお願いした場合に、どのようなアプローチをなされるおつもりでしょうか。
本ホームページに紹介されている、先生の定義される「製造業のあるべき姿」と先生のご経歴を拝読して問い合わせさせて頂きました。
<後略>
手前味噌ですが、貴社のような状況下でのご支援を成功できるのは、私どもしか無いと思います。
貴社のような状況は、その良悪の差こそあれ我が国製造業の多くに見受けられる状況です。しかし、貴社の場合は他社より大分ましだと思います。お世辞のつもりはありませんが、@@さんから頂いた情報の節々に、@@さんが的確に自部署を把握されておられるなと感ずるからです。
さてご質問に対する回答ですが、貴社のような状況からの改革・改善・体質強化の経験があるかですが、「YES」です。
開業以来17年、各所で手がけた取組の多くは先に述べましたように、多かれ少なかれ貴社のような状況にありました。そしてその件数は、既に大台に近づこうとする数十件を数え、自信を持って巧く行ったと言える成功率は、厳しく見積もっても4割を超えております。
当然全く失敗は無かった訳ではなく、これまでご支援をさしあげた中には、私どもから出す要求(可能な限りそれぞれの状況を配慮した)に対して、様々な都合で支援先が対応できず、私どもから仕切直しや中断をお願いしたケースがございます。その件数は、初期の頃で5件、この十年間では3件です。
そして残りの5割あまりは、私の厳しい評価基準では、残念ながら成功には数えたくないケースに当たり成功率には含めておりませんが、各支援先では、私どもに費やして頂いた費用の数倍のメリットを少なくとも得て頂いていると理解しております。恐らく一般のコンサル達に言わせれば大成功の部類になると思いますが、貴社が目指されているような“画期的な製品開発力保有を目指し、徹底した体質改善”と言う判断基準では不十分という自己評価です。
さて私どものご支援のスタイルは、能書きで固めた一般的なコンサルタント達とは全く異なるものと自負しております。確かに原理原則は必須ですし、機械製品や物作りは物理の法則や論理的な構成から逸脱した場合には、よほど運が良くなければその殆どは破綻致します。
ですから、私の口からは、常に「原理原則に忠実であれ」「物理の法則に則れ」「論理的な思考で詰めろ」などという叱咤が連発されます。しかし無い物ねだりをして虻蜂取らずになってしまったのでは、取組を行う意味を持ちません。
私どものアプローチ概要は下記致しますが、大原則は支援先の“現状を的確に把握して、現実的に実現可能な計画で、現場に入って一緒に取組を進める”です。
幸いにして、若い頃は建設機械の開発設計に携わっておりました。誰もやったことのない開発案件も的確に物にして参りました。その後はコンサルタントとして、数多くの先端製造業の開発現場で様々な開発や開発部署改革を成功に導いて参りました。
このような経歴や経験から、大抵の製品ならその構造や仕組みは、説明頂かなくても解りますし、設計者や現場の方々と彼らの言葉でコミュニケーションを持てる強みを持っております。そしてこの強みを生かし、常に現場(マーケットリサーチ〜商品企画〜設計〜試作・試作評価〜生産立上〜物作り〜アフターフォロー迄)に入り込み、現場・現物から問題点を把握(人間関係などの内面部分にも迫りながら)し、的確な改革に結びつけるアプローチを行っております。
ですからご質問頂きました“一筋縄では行かないどろどろの状況”も、これまでの取組の中では、漏らすことなくそれぞれの本質部分に迫ることができておりますのでご安心下さい。
余談ですが、私の自宅のクローゼットの奥には、これまでご支援申し上げた各社の作業服が袋に入れられ積み上げられております。家内には「かたづけろ」「処分したら」と言われ続けておりまして、この連休中に弊社事務所倉庫のロッカーを整理して、各社の作業服を収納するスペースを確保する予定です。これまでにも5年ぶりに作業服を引っ張り出すと言うこともありましたので、捨てるわけにも行きません。
私どもが考える体質強化への改革アプローチ概要
体質強化アプローチに伴い恐らく必要となる技術基盤強化アプローチ概要