CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

製品開発に貢献できない受け身の解析専門部隊は不要の存在(その1)



■質問■

<前略>

急激に落ちこんだ売り上げと収益を受け、弊社でもご多分に漏れずリストラの陰が押し寄せて参りました。私の部は、前回のバブル崩壊時も不要不急な組織とやり玉に挙げられ、存亡の危機に立たされた経験から考え、今回も真っ先にやり玉に挙げられるのではないかと恐れております。

私ども技術電算部は、10名を超える優秀な解析技術者達を擁し、製造業の域を超えた高度なシミュレーションを物にできる実力を備えており、競合他社のみならず蒼々たる我が国先端製造業各社にも引けを取らないと自負しております。

しかし一方、社内のライン部署、特に設計部署の当部に対する見方は冷ややかで、部長会などでは、穀潰し扱いまでされる始末です。確かに当部の担当者レベルと現場の設計者との間でのコミュニケーションが必ずしもうまくとれて居らず、正直設計の道具としてタイムリーに活用できているかと問われると、胸を張ってYESと答えれる状況ではないことは確かです。

そしてその結果、DRなどの場面でも「いつになっても解析結果が出てこない」「解析結果があてにならない」などと、開発の遅れや製品品質が良くならない原因を当部に転嫁されてしまっておる現状があります。

このような状況ですので、当部が真っ先にリストラのやり玉に挙げられる事は必定で、早急に当部の存続をかけた防衛策を打つ必要があります。

有泉さんは、恐らく様々な場面をご承知だと思います。当部の様なケースでは、どのような手だてを打てば有効かをご助言頂けますと助かります。

<後略>

■回答■

ご呈示頂いた情報だけでは、**さんがご期待頂くアドバイスは無理です。

ましてや私のCAE活用に対する基本的な考え方は(あくまでも効率的な商品開発・製品開発という観点に立った場合)、「CAEは、設計者達が頻繁に行う設計判断に際して、タイムリーに役だって初めてその価値がある」です。

この観点に立ったとき、**さんから頂いております情報の範囲では、「部門存続の防衛策など講ぜず、さっさと潔く部門をたたみなさい」と言う結論になってしまいます。しかし貴部署がバブル崩壊、その後に続いたIT不況の荒波をかいくぐり現在まで存続してきた(貴社経営層からその価値を認知されてきた)のには、それなりの理由があると思います。

私が片手間でアドバイスを申し上げる規模を超える情報量になるであろうとは思いますが、過去20年(バブル崩壊以前頃から)間で貴社が取り組んできたCAE活用の試み、そしてその成果を代表的な具体例を添えて発信頂けますでしょうか。これらの情報を基にアドバイスを差し上げようと思いますので。