有泉技術士事務所

■質問■

＜前略＞

早速のご回答ありがとうございます。お答え頂きました有泉さんのお考えになられる「製造業のあるべき姿」は、弊社上層部に違和感なく受け入れられるお考えだと確認させて頂きました。

さて先般お話し致しました私どもが目論む体質強化策、即ち固有技術の徹底継承や設計者一人一人の技術力向上などによる全技術力の底上げ、最新ＩＴ技術を駆使したフロントローディング開発体制の確立、製造部門連携によるコンカレント開発体制の確立などですが、いずれを取ってもご指摘のように一筋縄で行く取組ではないことは承知しております。また添付頂きました私どもが覚悟しなければならない心構えも、御説御尤もで全く異論はございません。

だだ、先般頂きました情報だけでは、先生がお考えになられておられます、体質強化へのアプローチをどのような段取りを踏んで取り組んでゆかれようとされておられるかが、充分に読み取れません。重ね重ねの質問で申し訳ありませんが、先生がお考えになられている、アプローチの目論見をお聞かせ頂けますと幸いです。

＜後略＞

■回答■

正直なところ貴社の現状を全く把握できておりませんので、当然の事ながら断定的なアプローチ手順をご提案できる段階には、未だございません。しかしながら経済誌などから得られた僅かな情報や、貴社が実際に市場に供給されている数々の商品などから垣間見られる問題点を手掛かりに、鳥瞰的に貴社の全貌を眺めると、かつて栄光の一時代を築いた歴史ある優良企業が陥りやすい罠に貴社も陥っているのではないかとの恐れを抱いております。

人間の体にたとえると、血管に蓄積したコレステロールが動脈硬化を引き起こし、一部には脳梗塞を起こしているのではないかと思われるような、明らかに競合他社の後追いとしか思えない、市場商品戦略の拙さ、遅さがまず挙げられます。さらに、たまたま私自身や身近な者たちが保有する貴社商品の著しい商品品質の低下の問題です。トラブルの状況や原因から察するに、貴社エンジニア達の慢心若しくは技術継承の失敗を強く感じます。

これらから短絡的に、これからの貴社の取組に対するアプローチ内容を決めつける訳には行きませんが、貴社ビジネスや製品の原点に立ち返って、そのあるべき姿に対して貴社現状にどのくらい齟齬があるかを明確かつ定量的に把握するところから手を付ける必要があると思います。大まかには以下のような流れに従い、尤も効率よく体質強化をはかれる作戦を立て、それに従い一歩一歩丁寧に体質強化を図ってゆく流れを考えております。

私の考える大まかなアプローチの流れ

弊社が貴社の大まかな現状を把握する目的で、貴社の現状をお聞かせ頂く（役員・部長クラス）
弊社より貴社体質強化に対する、大まかな全体計画とお見積もりの提出
貴社の現状の問題点を漏れなく明確に把握する、現状診断（予備診断→本診断→整理・分析・現状打破計画立案→ご報告）実施。貴社の一線担当者及びそのマネージャ達に、直近５年間に行った開発案件の開発着手からクローズまでの顛末を事細かに聞き取るとともに、営業・ものづくりなどの部署から反面情報を聞き取る。聞き出したこれら情報を基に、１６０件を超える弊社の現状診断の分析ノウハウを駆使して、問題の本質を探り出すとともに尤も効率的と思われる改革案骨子を策定し、ご報告申し上げる。
確実に実行可能な実施詳細計画案を立案
実施詳細計画に従い淡々と体質強化への取組を行う

弊社の考える大幅な体質強化へのアプローチに対する有泉さんの目論見をお聞かせ下さい