<前略>
先生には、以前から事ある毎に、弊社の開発体制の改革を求められておりましたが、長年続いた業績好調下では全社的になかなかその気運も盛り上がらず、我々だけが突出するわけにもいかず先送りを続けておりました。
しかし今般のサブプライム破綻に端を発した米国の不況、更にはその煽りを受け全世界が突入した不況は、弊社の収益にも大きな陰を落とし始めております。また円高に起因する予想以上の収益ダウンは、我々の予想を大幅に超える物で、この面からの対策も早急に求められる状況に陥っております。
特に弊社では、先生にもご承知頂いておりますように、円高による為替差損の問題は、この20年来経営計画・開発計画の中でも十分配慮し、仮に90円を超えることがあっても充分に収益が出せる態勢を整えて参ったはずにもかかわらずの結果に、経営陣一同大きなショックをおけております。どうも長年続いた業績好調で、我々自身も含めすっかりタガがゆるんでしまっていたようです。
そこでご相談ですが、先生がご承知して頂いている数年前の弊社の状況で構いませんが、先生が提唱されております、設計思考展開をツールとし、フィジビリティースタディー、徹底したDR、ミニDR、更には全社一丸となったコンカレント開発体制での、フロントローディング開発体制を短期間で整えることが可能でしょうか。可能なら一年以内を目処に。またその際、集中的に先生のご指導を賜ることは、先生のお仕事の混み具合などのご都合上から可能でしょうか。
「困ったときの神頼み」とお叱りを受けることは重々承知しておりますが、宜しくご対応の程お願い申し上げます。
<後略>
はい貴社でしたら関係者が一丸になれさえすれば、商品がそれ程複雑でないことも踏まえ、一年もあれば可能だと思います。
但しCAE技術を駆使した完全予測型フロントローディング設計は、商品がそれ程複雑でないとしても、どうしても雛形モデルの作り込みなど根気のいる準備が必須となります。故にこの部分を除いてと言う事になりますが。
そして、その代替え手段には、全社一丸となったフィジビリティースタディー、全社一丸となった徹底したDR、ミニDRにより、そこに参加するメンバーの経験・ノウハウ・知見により、起こるであろう問題点を可能な限り予測・対策する手段を考えております。
私が知る限りの貴社メンバーのスキルなら、充分に私の目論見を可能にしてくれるであろうと考えておりますので。
私のスケジュール的には、少なくとも今のところは余裕があります。但し今後貴社のようなお話が各所から舞い込んでくるやもしれませんので、先々については何とも言えませんが、原則早い者勝ちの考え方で、先にお声を掛けて頂いた所を優先させて頂きますので、ご安心下さい。