CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

開発業務改革担当者の心構は?


■質問■

<前略>

今年度の人事異動で、設計改革及び垂直立上げを実現する物作り改革を任務とする、開発業務改革プロジェクトの責任者を拝命致しました。

よりまして、先生にはこれから様々なご支援をお願いしようと考えております。詳しい話は当方の体制固めが終わる予定の6月以降に、打合せの機会を設けさせて頂こうと考えており、その際にはご指導のほど宜しくお願い申し上げます。だからと申しては厚かましいのですが、本日は一点だけ質問をさせてください。

以前先生にご来社頂きご講演を賜った際に、設計改革に臨んでの心構えの十箇条をおっしゃられていたかと思います。「全てのしがらみを捨てろ・・」などの十箇条です。その席では一生懸命メモを取ったはずなのですが、どこかに押し込んでしまったようで、見つかりません。

よろしければ、心構えの十箇条を改めてお教え頂きますと助かります。先生の十箇条を壁に掛けメンバー一同、心を一にして今回のミッションに取り組もうと考えておりますので。

<後略>

■回答■

設計改革に限らずあらゆる改革への取組は、一朝一夕では叶わない、茨の道を進むような取組です。またよほど条件が整っておらない限り、人・物・金の制約で思い通りに物事が進まず、驚くほど時間を費やす取組です。

一方我が国の製造業では、高度成長以来右肩上がりで急激に膨張してきた故に、各所に生まれてしまった様々な“ムダ”と、バブル崩壊で取った応急処置の失敗の付けが混在し、抜本的な改革などとても儘ならず、数字上での帳尻合わせで辻褄を合わせている実態が各所で見受けられます。

いま、米国輸出で食いつないできた製造業の危機が各所でささやかれております。確かに“Made in Japan”だけを売りに、円安の競争力で稼いできた米国市場依存型の製造業は、その存亡の機にあると思います。

しかし日々改革の努力を怠らず、本当に強靱な体力を身につけた製造業であるならば、サブプライムローンを原因とする、ドル安不況などでは、たとえその収益が落ちこんだとしても、それは単に予定外に“ボロ儲け”していた利益が減るだけの話であり、あたふたする必要が無いはずです。

そして後者に属する製造業は、長い時間と金を費やし、その持てる知力をフルに発揮して、改革の取組を行って来たはずです。何故「来たはずと」断言するかは、彼らが共通して持つ“製造業力”からです。

すなわちその程度の差こそあれ、彼らは「全世界の顧客ニーズにマッチした、安全で高品質且つ適正価格の製品を、より短期間且つ低コストに開発できる実力を持ち、常に安定した商品開発と製品供給が叶う実力を持ち続ける事が出来る事業体質」に変革できているか、若しくは変革の途上にあると診てとれる“製造業力”を持っております。

そして、このような”製造業力”は、私が承知する限り、私がこれまでご支援申し上げ、「全世界の顧客ニーズにマッチした、安全で高品質且つ適正価格の製品を、より短期間且つ低コストに開発できる実力を持ち、常に安定した商品開発と製品供給が叶う実力を持ち続ける事が出来る事業体質」に変革できた製造業が経験した、艱難辛苦の日々があってこそ、初めて得られる成果であることから判断して、「改革の取組を行って来たはずだ」と断言しているわけです。

**さん達が取り組もうとされている開発業務改革が、決して生易しい道程では無いことをご承知おきいただいた上で、ご質問の“心得”を進呈致します。


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設計改革を成し遂げる鬼の十訓     有泉徹

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