かつてのペースほどではありませんが、私は多くの大手製造業で、設計業務や商品開発体制に対する“現状診断”を年数件実施しております。特に最近は診断期間が2ヶ月以上、診断費用が2000万円以上のような、大がかりな診断が中心になっております。そしてこれらの診断を通じて、多くの製造業に共通して見受けられるいくつかの問題点を把握して参りました。
その問題点を列記すると
そしてこの悪さ具合は、急激な体質改善を迫られどの製造業も躍起になって体質改善をはかろうとしていたバブル崩壊期より、始末の悪い状態になっているのではないかと、私自身は感じております。
ところが、私が診断にこれまで入ったどの製造業でも、一部の人たちを除いてこの悪さ具合を感じ取っていない事実があり、事業経営層も含め自分たちの商品(製品)開発組織は、十分な力とブラッシュアップされた組織運営力を持っていると誤解している例が、そのほとんどといっても過言ではない状況でした。
特にその資金力や人材力に任せて、膨大な設計周りのPDMなどに代表されるIT支援ツールを導入し積極展開をはかろうとしてきた製造業に、大きな問題点を数多く見受ける例が少なくありません。「これまで大枚を叩いて道具や人材を拡充し、ルールづくりや教育などをセッセと行ってきた。自分たちに問題などあるはずがない」という具合です。
それでも一部の人たちが「何かおかしいぞ?」と感じ、私に診断をいただくケースは、恐らくまだ救いのある方で、いまだに気づかずにいる製造業の今後は、相当暗いものになるであろうことは間違いないでしょう。
そして先に列記した様々な問題点の多くの根元を突き詰めてゆくと、実は同じ原因に至ることを、私は様々な製造業における経験から把握してきました。そしてそれは現象面では@に挙げた“設計をしない(設計ができない)設計者の蔓延”として現れております。
これらの典型的現象の具体例としては、以下に列記するような状況です。
ではこれらの問題をどのように解消すればよいかですが、言葉で言えばきわめて簡単で、「それぞれ設計とは何かという原点に立ち戻り、自分たちが現在行っている“偽”設計作業とのギャップを明確にして、原点に戻れるよう改革・改善に努めること」です。
しかしこの作業は、言葉で言うほど簡単なものではなく、私がその開業以来16年あまり様々な製造業で行ってきた取り組みも、全てがうまくいったわけではありません。中にはせっかくの取り組みを、途中でとん挫せざるを得ない場面に追い込まれたケースもわずかですがございます。
開業当初の10年前までは、ある意味私自身も試行錯誤的な部分もございましたので、成功率は7割程度でした。最近では、ほとんど10割に近い成功率を誇っておりますが、4年ほど前に手がけた例で、途中でとん挫した心残りの事例もあります。
これらの取り組みを成功させる秘訣は、「それぞれ設計とは何かという原点に立ち戻り、自分たちが現在行っている“偽”設計作業とのギャップを明確にして、原点に戻れるよう改革・改善に努めること」を冷静かつ地道に一歩一歩進めてゆくしかありません。これが嫌なら、“皆さんの足下で起こっている、とんでも無いこと=>製品開発力の遺失”を解消できず、いずれは皆さんの企業は消滅の運命をたどることになるでしょう。
一方過去失敗した例では、成果を性急に求めすぎた例、悪しきサラリーマン根性に根ざす自己保身の意識を一掃できず総論賛成各論サボタージュを脱却できなかった例、部門間の障壁をどうしても崩せなかった例などが挙げられます。
ますます厳しさを増すグローバル競争の中で、我が国製造業が勝ち抜くための必須要件は、強靱な体力(開発力・生産力・販売力)を付け、世界中の顧客に喜んで購入・使用いただける、高性能・高品質・低価格な製品を投入し続け、しっかり稼ぎ続けることです。このためには崩壊しようとしている自分たちの足下(商品・製品開発力の低下=設計力の低下)を、しっかり固めることが最優先で求められていると考えます。
最後に私どもの宣伝になりますが、私どもの現状診断・改革支援コンサルをご利用いただけますと、恐らく最短且つミニマムコストで、的確な体力強化が実現できると思います。