CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所

現場が忙しさを理由に改革の話に乗ってきてくれない


■質問■

<前略>

弊社では既に5年以上に渡り設計業務改革に取り組んでいるのですが、現場が忙しさを理由に改革の話に乗ってきてくれず、はかばかしい成果をなかなか得ることができません。

人伝に聞くところによれば、最近先生は各所で画期的な設計改革を成し遂げているとのことですが、もしよしければその秘訣を教えて頂けないでしょうか。

<後略>

■回答■

恐らくご質問の主旨は、秘伝の書のような物をお求めかもしれませんが、そうだとすると、残念ながらお教えするような事は何もありません。

仮にあってもこれまで何のお付き合いも無かった方々に、無償で私共の大切な商売道具をお出しすることもありませんが。とは言っても、折角ご質問を戴いたのですから、少しは、お役に立てる情報をご提供致しましょう。

私共は、お手伝いさせて頂いている製造業の皆さんと、彼等の飯の種である商品を開発する業務に対して、稼げる質の高い商品を、より効率良く生み出せる体制とするために、ただひたすら愚直な取組を行ってきただけです。

私共が手がける設計改革が巧く行くと言う視点での秘訣ならば、 “総力を挙げて先を読み”、“やるべき事をしっかり行い”、“全てに対して原理原則に立ち返り”、“絶対に無駄な仕事は生じさせない”事です。

しかしご質問の様な「現場が忙しさを理由に改革の話に乗ってきてくれない」などの状況を乗り越えてと言う観点では、私共の取組では、ご質問のような状況は起こりうるべくもなく、お答えしようが無いと言うことで、お教えすることが無いと言うことです。

一方、貴社の様な環境下の製造業様は、改革への取組のご支援を依頼された際に、必ず行う現状診断時点で直ぐ把握できます。そしてその場合には、トップからの、改革に対しての、強いリーダーシップを約束頂くか、現場の意識改革ができない限り、設計改革の支援に私共は入りません。

強いリーダーシップの下、強引に事を進める場合以外では、設計改革への取組を始める前には、必ず改革への同義付けや、環境の醸成が必要になるからです。ですから正確に言うと、私共は、まずこの環境醸成の取組、布石をしく取組への支援からお手伝いにはいることになります。

もしかしたら、ご質問のお答えは、このポイントかもしれません。貴社では設計改革の取組に際して、このような環境醸成の取組を行いましたか、それ以前に改革に際して、何が悪くて何を直すのかの、現状把握を的確に行っておりますか。たぶんどなたかの思いつきに近い設計改革のへの取組だったのでは、無いでしょうか。

このあたりの取組に関しましては、日刊工業新聞社の「機械設計」誌で、2005年の7月号より、「グローバル競争を勝ち抜く “攻め”の設計改革講座」と題して、私共が各所で取り組んだ設計改革への取組方、そのベースにある考え方などを紹介しておりますので、是非ご購読下さい。