3次元CADを導入して5年たったが・・・

質問


ご無沙汰しております。6年前の3次元CAD導入検討段階ではたいへんお世話になりました。熱意を持ってご指導頂いたのですが、なかなか先生のおっしゃられる方向で、取り組みを進めることができなかったこと、改めてお詫び申し上げます。また、ご承知おきいただいておりますような諸般の事情により、その後の取り組みにも先生のご指摘を生かすことができず、常々申し訳なく思っております。
 あれから6年、ユーザー会などでは華々しく成果発表を行ったりも致しましたが、あのとき先生にご指摘ただいたように、これと言った成果が生まれてきておりません。また主力設計者達は、相変わらず2次元CADから離れてくれない状況です。**が一時期強引に3次元化を推し進めようとして、2次元CAD使用禁止令を出そうとしたのですが、「開発が止まっても良いのか!」のベテラン設計者勢の恫喝に押されてしまい、稼働率も正直なところ寂しい限りという現状です。恐らく先生にご支援いただいております△△の〇〇達からお聞き及びになられておられると思いますが。
 そこで、何を今更と先生に言われるであろうことは重々承知しておりますが、先生が〇〇達から得ている情報の範囲でかまいませんので、先生の冷静な目でごらんいただいての、現状に対する率直なご意見、及び今後の仕切直しを仕掛けてゆく上でのアドバイスをいただけますと幸いです。





回答



 ご無沙汰しております。6年前は私の提案をご支持頂き、がんばって頂けましたこと、改めて御礼申し上げます。コンサルタントとしてあのような場面は、少なからずあることですので、私としては一向に気にしておりませんので、お気になさらないでください。それよりも、△△の〇〇さん達からお聞きしている状況では、ほとんど私が予測していた状況に陥っておられるとのことで、私の診断の的確さが証明されたと、自己満足をしておりますので。
 さて、今回の状況を招いた最大の原因は、3次元CAD導入の目的を誤ったことです。「3次元CADを導入してコンカレント設計態勢を確立する。その結果設計の手戻りを削減し、画期的な設計生産性向上を成し遂げる。」と言ううたい文句そのものは決して誤りではなかったと思います。しかしこのうたい文句は、あれだけ指摘したにもかかわらず、上滑りした、言葉だけの物になっておりませんでしたか?
 6年前、短時間でしたが行わせて頂いた現状把握の中で、3つの重要なポイントについて指摘をさせて頂きました。その指摘は「とにかく“作って”“壊して”“考えよう”の製品開発体制」「物事を論理的に理詰めで考えられない設計者の平均像」「セクショナリズムの高い壁」だったと思います。そして、3次元CADの導入を目的にするのではなく、これらを改革する取り組みを目的とした、思い切った取り組みを行わない限り、投資に見合う成果を得ることは難しいでしょうと申したと思います。
 具体的に皆さんがどのような展開方法されたかは、知り得ませんので何とも言えませんが、私からの上記3つの指摘を一つでも解消しようと真剣に取り組まれておれば、今日のような結果にはなっていないと思います。中でも「物事を論理的に理詰めで考えられない設計者の平均像」「セクショナリズムの高い壁」2点の問題を解消しようとする取り組みがなかったことは、客観的な根拠を私自身貴社内で把握しております。
特に「セクショナリズムの高い壁」の問題は、本来は製造部門や管理部門自身にも問題があるのですが、△△がらみの取り組みで接触を持ったこれらの部署の方々から、貴部署への批判を最近も少なからず聞かされております。セクショナリズムの高い壁の問題、設計内容のお粗末さの問題という形での批判です。
そして〇〇さん達からお聞きしている状況では、「とにかく“作って”“壊して”“考えよう”の製品開発体制」も全く変わっていないそうですね。
これでは、どのように素晴らしい3次元CADを導入し、どのように優秀な3次元CADオペレーションコンサルタントにお願いしても無理でしょう。現に3次元CADオペレーションコンサルタントの方にも見放されたのではないですか?
☆☆さんには前からしつこく言っておりますが、3次元CADはあくまでも道具です。設計改革を実現してゆくいくつかの道具や手法の中の、たった一つの道具にしかすぎません。たかが道具に改革を期待すること自体が大きな誤りといえるでしょう。ここのところでボタンの掛け違いを犯してしまった、貴部署の不幸の結末といえるでしょう。しかも、度重なる警告を私から発信させて頂いたにもかかわらず、なかなか聞く耳を持って頂けなかった不幸でしょう。(☆☆さんはちがいますが)
さて今後の仕切直しですが、これまで行ってきた取り組みの棚卸しを早急に行うべきです。要するにこの6年の3次元CAD導入への取り組みの総括です。いまここで仕切直しを行うには、それしかないと思います。そしてその総括に用いる現状分析データは、私ども第三者の目で、冷静・的確に実施した診断分析データを、是非ご利用いただきたいと思います。
現在私の所では、6年前に簡単に行わさせて頂いた現状把握の作業を拡大充実させ、“現状診断“”ベンチマーキング“と称して各所で展開をおこなっております。ベンチマークデータは我が国勝ち組企業さんを中心に140を超えるデータを保有するに至りました。また現状診断その物も6年前とは格段に増したノウハウを保有するに至りました。
また、私どもの知名度も当時に比べ格段に上がったと思います。日刊工業新聞社からの三冊の書籍や、日経メカニカル、機械設計など専門誌での執筆も頻繁に行っておりますし、各所での講演も頻繁に依頼をされております。私どもをご利用いただくに際しての上層部説得には、かつてに比べ格段にやりやすくなっておると思います。そして貴社に置いては、△△部署では、私どもが自身を持てる成果を成し遂げつつあります。六年前に懲りず再度私ども活用へのアクションを宜しくお願いいたします。
アクションをお取りいただくにあたり、**さん説得が極めて大きなポイントになると思います。端的に言えば、貴部署におけるこの六年間の取り組み結果の責任は、そのほとんどが**さんにあると思われるからです。また彼自身この六年間の取り組みが失敗に終わっていると言うことは十分に認識しているはずです。特に私のご提案や指摘に対しての取り扱いの失敗を内心反省していると思います。
しかしだからといって、**さんが私の担ぎだしを、おいそれと承知するはずがありません。私を担ぎ出すと言うことは、**さんの認識不足・読み違い・判断ミスを白日の下に晒すことになるからです。よほど度胸の据わった方でない限り、このような取り組みに賛成するわけがありませんし、私が知る限りの**さんにはそれほどの度量があるとは思えません。
しかし手をこまねいていても問題は悪くなるばかりだと思います。そこで**さんを、他の方には内緒で、私の事務所に来ていただけるよう手回しをしていただけませんか?(私から申し入れがあった旨申していただいてかまいません。)そこでじっくり**さんと腹を割って話し合い、今後の善後策を煮詰めてみようと思います。当然それ以前に☆☆さんのお考えやご希望はしっかりとお聞きしておいた上ですが。
 **さんが上記提案を拒否されるようでしたら、**さんの排除も含め部門トップに対してのアクションを取らざるを得ないと思います。そのときはそのときで、私を巧くご利用下さい。