質問 |
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回答 |
最近あまりお答えすることのなかった部類のご質問です。
3次元CADはあくまでも設計を行うための道具です。さらに言えば、単なる道具のなかで、形状具象化を担う道具の一つにしかすぎません。ですから「3次元CADを導入すれば設計改革ができる」等と言う戯言は、全くの大嘘と言ってもよいでしょう。このような戯れ言は、設計とは何か?、商品開発とは何か?、もの作りとは何かを全く知らない、コンピュータ関連の営業マンやマーケッターたちが、自分たちの3次元CADを売らんが為、無理矢理にこじつけた世迷い言と理解ください。
現にそれを裏付ける事実として、創業以来この10年、私どもが取り組んだ設計改革へのアプローチの中には、3次元CADなどは全く用いることなく、画期的なIT化と生産性向上を成し遂げた商品開発部署もあります。
しかしこの事実とは裏腹に、この10年間で、評価に耐え得る設計改革を成し遂げた、私どもが手がけた9割以上の商品開発部署では、その使い方こそ差はありますが、何らかの形で3次元CADが活用されている事実もあります。
ではこの多くの商品開発部署は、どのようにこれらの3次元CADを活用して、その設計改革に取り組んできたのでしょう。その具体的な活用内容は私の著書「3次元CADによる設計の改革術」や「 コンカレントエンジニアリングによる設計の改革術」中で数多く語っているので割愛します。しかしその基本的な考え方は、3次元CADの持つ特性を最大限生かしながら、ミス(誤り)のない、重複作業が極力少ない、設計チームの誰もが共通の認識を持ちうる、等々の視点から生み出した各種施策に基づく取り組です。
そしてこれらの施策は、設計改革への着手時点で、徹底して行った現状分析の結果に基づき、それぞれの個別の取り組みを策定して参りました。現状診断で洗い出された、対象部署が抱える複数の問題点(マクロな視野でみた)を、最も合理的に解消するためには、何をどのように変えてゆけばよいのか?、そしてそれを実現するためにはどのような道具の活用方法が有効か?、そしてその道具を具体的にどのように使うのか?と言うような段取りでの取り組みです。
私たちが行う設計改革への取り組みは、このようにして洗い出され、ブレークダウンされた数多くの取り組み項目から、初めて利用すべき3次元CAD等のITツールが決まり、その活用方法が定まる流れです。
ですからご質問にあるような、「3次元CADを導入すると何故設計改革ができるのか?」「3次元CADを導入してどのように設計改革を行うのか?」と言う様な、まず道具の導入ありきの発想とは、根本的に取り組み方の姿勢が異なっております。
要するに結果論として、「設計改革に3次元CADがきわめて有効に役だった」「その場面での適用方法にはこのようなやり方がありましたよ」と言う姿勢です。
またこのようなスタンスで、私の著書をお読みいただくと、これから設計改革に取り組む皆さんが、どのような取り組みを行えばよいのか等、数多くのヒントを読みとれると思います。