CAEツールの活用に際し問題解決と同期しながら教育を進める方法はあるか?

質問


CAEツールは導入済みですが、活用は設計者任せのため巧くいっておりません。教育計画を含めた活用推進提案が頂きたい。但し業務中断するような取り組みは現実的に不可能です。特に設計キーマンは不可能です。但し若手についてはOKです。
 又は開発業務の中で問題解決と同期して教育するシステムは可能でしょうか?

回答



 まず、仰るように設計者任せでは、幾ら素晴らしいCAEツールを導入しても埃をかぶることは目に見えております。これまで私共が診断を行った多くの製造業で、古くは過去30年来、最も多いケースでバブル真っ最中の10年強前に導入を行ったCAEツールが、埃に埋もれている例を具に見ております。
 では何故この様な状況に多くの製造業は陥るのでしょう。設計部門で商品開発のツールとして用いるCAEは、設計者の設計判断を"迅速"且つ"的確"に解決してくれる道具でなくてはなりません。また自分自身が使うにしろ、解析専門家に解析してもらうにしろ、一般機械設計者の常識の範囲でそのモデル化条件や、結果が理解判断できる物でなくてはなりません。
この様な視点で見たとき、現在お使いになられているCAEツールは、ただ設計者に放りっぱなしで与えて巧くゆくような代物ですか?設計者に取って"迅速"且つ"的確"に設計判断を手助けしてくれる道具になり得ておりますでしょうか? 道具の機能としては如何ですか?道具の使い勝手としては如何ですか?道具を巧く使わせる工夫としては如何ですか?道具の提供者側からの的確な支援としては如何ですか?恐らく、どの一つを取ったとしても巧くないのではないでしょうか?これでは、巧くゆくわけがありません。
私共に教育計画を含めた活用推進提案をご所望ですが、CAEツールを活用して最も効果が挙がる、設計キーマンに対しての活用技術取得指導を抜きにしての、私共が推奨する活用推進体制などあり得ません。
設計部門で商品開発のツールとして用いるCAEは、その商品開発の中心に居る、設計キーマンが使いこなしてこそ成果が出る代物です。私共が提唱する「フロントローディング設計」の根幹には、設計キーマンが駆使するCAEツールや、各種IT支援ツール、及び品質機能展開などの手法などの活用技術が前提です。この前提があり、一人一人が根拠に基づいた、極めて質の高い設計を可能にする体制が確立しているからこそ、1/3の開発期間、1/3の開発費用を実現できるのです。
ここの所をしっかり理解しいていただかないと、生きたCAE活用が出来る商品開発部所に、貴部署を変換させるのは難しいと思います。
ただしなるべくこれら設計キーマンに負担をかけさせないように、CAE活用技術を取得していただく目的の取り組みは、私共の支援メニューの中にございます。これを私共は「CAE」指導会と名付け、1回〜3回/月ペースでCAE技術指導を各所で展開しております。内容的には、指導会を通じての設計者の意識改革、ノウハウ取得、スキル共有化等を図っていただく目的の取り組みです。
指導会では、OJTを通じての考え方、不足技術、アプローチ技術、結果読みとり技術、設計反映技術の取得を実現していただきます。まさにご要望頂いたもう一つのお問いかけ、「開発業務の中で問題解決と同期して教育するシステム」であるとも言えるでしょう。