設計業務改革コンサルティングの内容と受けるメリットは何?(その2)

質問

貴社では手広く設計業務改革コンサルティングを行っているそうだが、その内容とメリットを教えてください

回答


設計改革コンサルティングをアウトソーシングするメリット


多くの製造業で、設計改革の取り組みが行われている。私達が主催する「設計改革セミナー」にも、この不景気にもかかわらず多くの製造業からの出席がある。
しかし、私達に診断コンサルティングを依頼してくる、製造業のそれまでの取り組みを含め、多くの製造業における設計改革への取り組みは、必ずしも巧くいっていないと私達は見ている。各種雑誌やCADベンダーのユーザー会で、その取り組みが報告され、一般には設計改革への取り組みが、巧くいっていると思われるケースがたくさんある。しかしこの中には、実際に私達の診断コンサルティングを受け、極めて厳しい私達の指摘を受けているところも少なからずある。それ以前に、全てとは言わないが、これらユーザー会や雑誌に発表される成功事例で、数々の修羅場をくぐってきた私達の目からは、「実際は巧くいっていないだろう」と、どうしても思えてならない、成功への道筋として説明される内容に破綻をきたしている例が少なくない。さらには、成功事例としてもてはやされる企業の前後工程を担う製造業を、私達が支援している場合などは、その破綻具合を具に眺めている場合さえ有る。
では何故、設計改革への取り組みが巧くゆかないのだろう。それはある意味では当然である。
@ 自分たち自身の問題点、悪さ加減を冷静に見定め、的確な解決方法を自分たちで処方できるか?(同じ文化に育った人には、必ずお互いに見えない問題点が存在する)
A これまで未経験な取り組みである。当然各所で問題が発生し、壁に突き当たる。この様な場面で、的確且つ迅速に問題解決手段を編みだし即アクションできるか?
B やはり未経験な取り組みである。問題発生以前に危険予告信号は必ずどこかに現れている。それを的確にキャッチし、的確に処置できるか?
C 改革には必ず痛みが伴う。関係者に今まで経験をしたことの無い負担をかけなければならない場合がある。同じ企業内人間に対して、場合によっては引導を渡すような発言が出来るか?
D 中からの発言だと、これまでの柵から圧殺される場合がある。外部の人間の発言は、同じ内容の発言でもそれなりの説得力を持つ。
E 等
拾い上げたら限りの無いほど、その理由が挙げられる。
特にA、Bなどは、私達が技術士事務所として開業する以前から、同様な取り組みの経験があったとはいえ、10年前は未だ場数としては極めて少ない物であった。当然この経験の浅い分、その経験不足故、なかなか巧くゆかない、能書き通り行ってくれない場面も少なからずあった。だいぶ遠回りを、依頼先企業と行った物である。
今独自で設計改革に取り組んでおられる方々は、その取り組みが、結果として巧くいくとしても、私達がその初期段階で経験した、皆目出口の見えない暗黒の世界で、彼方此方で遠回りや挫折をしながらの取り組みになる可能性がある。最悪はCAD/CAM/CAEの道具や、馬鹿高いPDMシステムの開発を行っただけで、後はうやむやと言う場面に陥る危険性をも孕んでいると言うことを自覚する必要がある。
ではどうすればよいかは、我田引水と言われるだろうが、私達など外部の知恵・経験・ノウハウを有効に活用する事により、不足する経験やノウハウを外部に求め、より確実な取り組みに方向転換すべきであろう。
当然、しっかりとした実績とノウハウを持つ、アウトソーシング先を選ぶことが必須だが。
また、本稿では設計改革コンサルティングに関してのアウトソーシングに付いて語った。しかし本例だけではなく、商品開発、短納期試作、短納期金型開発、試験分析などについて、経験の浅い部分のノウハウやスキルを、同様な手段で外部に求める事は有効である。またそのような要求に応えられる受け皿も、徐々にではあるが育ちつつあるので。