質問 |
私の部署は**を開発・生産しております。**は典型的多品種少量生産品で、これまでてまのかかるCAEについては、取り組みが薄かったと言わざるを得ません。これからCAEの活用をはかるとすれば、**メーカ(多種少量企業)ではどのようなポイントに注意した取り組みは望ましいのでしょうか? |
回答 |
シミュレーション技術の活用は、すぐに試作の出来ない、試作に期間やコストの掛かる商品開発には、その商品が少品種大量生産、多品種少量生産いずれにも関わらず必須になります。特に商品の品質や特性を決め込む構想段階で、このシミュレーション技術が巧く活用できると、画期的な商品開発の生産性向上が図れることになります。この様な場面でCAEが有効に活用出来るか否かで、私どもが各所で提唱しているフロントローディング開発(画期的な商品開発の生産性向上)が巧く行くかのどうかが決まって参ります。
ですからこの段階で用いるCAEのツールは、貴社商品で想定されるあらゆるメカ挙動に、シンプルなモデルで対応できるような道具が望ましいと言うことになります。その様な目で見たとき、貴社で既にお使いになられているANSYSは、かなりの広い範囲をカバーしてくれることになると思います。もし欠けているとするならば、運動問題を扱うDADSやADAMS若しくはWorkingModel等の機構解析ツールでしょう。
CAEの活用にはもう一つの段階があります。詳細設計が終わり試作出図後、物が出来てくるまでの間に、前もって構造部品などの強度等を厳密に確認しておく作業です。そしてこの場面では、今世の中によく言われている"設計者向けCAEツール"が活用できることになります。貴社の場合既にANSYSをお使いですから、解析部分が同じDesignSpaceなどがその使い勝手の上では望ましいのではないかと思います。
余談ですがセミナーでもお話いたしましたように、私自身建機メーカの出身です。建機も貴社と同じような典型的多品種少量生産です。
そのような建機メーカで私自身は25年以上前に、CAEの走りの道具を活用し、ROPS国産認定品第一号の開発に成功しました。その他キャビンの耐久性向上や、振動騒音低減など各所でのCAE活用を成功させて参りました。しかし当時は道具がとても難しく、何人もの設計者にその活用を教えたのですが結局まともに活用できたのは私だけという有様でした。そして1982年、私がCAE/CADソフトの販売会社に転職すると、色々な資料を残し何人かの素養のある設計者に申し送りをしたのですが、残念な事にそれまで私が築いてきたCAE活用の文化は消滅してしまいましたが・・・。
私自身はCAEソフトの販売会社に転職後、貴社の業種を含め多くの多品種少量品生産メーカーにもCAE活用コンサルティングを行なって参りました。そして各所でCAE活用の画期的な実績を残しております。それまでいたところで、なかなか思い通りにやらせてもらえなかった私の考え方を、他で実現したと言うところです。