PDMツールの動向調査を行う機会があったので、その概要をお知らせします
SDRC Metaphase
SDRC Metaphaseの最新バージョンは3.1jである。やはりMetaphaseの場合もWeb対応を済ませている。そしてかねてからのPDM(Product Data Management) と言う呼び名を改め、EPDS(Enterprise Product Development Solution)というコンセプトを打ち出している。製品開発全般に渡る問題解決手段の為の道具とでも言うのだろうか?
そしてそのキーワードとして、バーチャルな組織(Virtual Organization)、ナレッジマネージメント(Knowledge Management)を挙げている。要するに、「急激に変動する現在の企業環境に置いて、従来には考えられなかったような、企業組織形態での製品開発(海外生産拠点はもとより、異企業同士での共同開発やOEM開発など)が行われる。また、企業間での劇的な再編などに伴い、長年培ってきた企業の"知的資産"の散逸が起こりうる。これらの状況を鑑みると、柔軟にバーチャルな組織変化に耐えうる、一貫した製品データの管理と、"知的資産"の管理が急務である。」ということだろう。
特筆すべき最新動向としては、やはりそのWeb対応であろう。提供されるJAVAアプレットにより、JAVA対応のWebブラウザーさえ有れば、Metaphaseの全機能を何処ででも使えることだ。そのほか、ナレッジデータの構築に用いる製品コンフィグレーション管理機能や、設計情報の共有化ややはりナレッジデータの蓄積及び再利用に活用できる文書管理機能などが強化されている。
CoCreate WorkManager
現在我が国でリリースされている最新バージョンは、昨年3月にリリースされた5.1日本語版である。今年前半には6.0のリリースが予定されている。(図2)
現行バージョンでの最大の特徴は、そのWeb対応の強化である(インターネットやイントラネットなどのブラウザー画面から、PDMの操作を行える機能の強化)。PDMツールのWeb対応要求は、常々私の持論として各所で唱えてきた。低コストで広くPDM展開を行うには、必要不可欠な機能だ。WorkManagerのWeb対応は、これまで閲覧と検索のみであった。しかし本バージョンで、任意の部品レコード、文書ファイルのデータ作成、登録、更新などPDMで必要とされる主要機能のほとんどを、Web上から実行可能可能にしている。
このWeb対応により、WorkManagerのユーザーは、海外生産拠点など、物理的に離れた拠点との間で、製品データを共有しながら、共同開発などをより円滑に進めることが可能となる。特に国内開発拠点と海外生産拠点が、異なるハードウエアーやソフトウエア環境を構築している場合に、このWeb対応は大いに威力を発揮する。Webブラウザー(ネットスケープやインターネットエクスプローラー)さえあれば、どこからでも開発拠点にあるWebサーバーにアクセスでき、自由にPDMの操作が出来るからだ。
今年前半にリリースされる、バージョン6.0での特徴的機能向上は、JAVA対応であろう。JAVAの特徴の一つである、オブジェクトプログラミングの機能を生かした、GUI(Graphical User Interface 入出力画面などシンボルや操作窓)ツールキットが提供される。これにより、ユーザー側でのカスタマイズ作業の軽減が期待できる。そのほかJAVAの特性を活用した、遠隔サイトのインストレーション作業の軽減化など各所でJAVAの特徴を生かした機能拡張が予定されている。
WorkManagerは、その位置づけを、Collaborative PDMと位置づけ、ERPとは一線を画している。上で紹介したWeb技術活用等により、遠隔地や異企業間での円滑なコラボレーション開発(共同開発)を支援するPDMと言うことだ。