緊急報告”Pro/ENGINEERは本当に大丈夫なのか?”
10月15日、PTC社の98年度会計報告が発表された。それによると、98年度のネット収入は86,697千ドルで、昨年97年度の
7,660千ドルに対して横ばいと言える結果であった。しかし、そのソフトウエアーライセンス売り上げは 609,239千ドルで97年度の
644,726千ドルを大きく下回る結果となっている。
この結果が、通常の年度における物であるなら、わが国を始めアジア地帯での設備投資への冷え込みを考えると、良く健闘したと評価される結果であっただろう。しかし、皆さんも記憶に新しい所で、昨年末からのPTCによるコンピュータビジョン買収劇があった。
そして、PTCの商品ラインアップには、コンピュータビジョンより引き継いだ、CADDS Optegra DesignWave Windcillなどの商品群が追加されたはずである。少なくとも、本年1月以降のこれらの商品の売り上げは、これまでのPro/ENGINEERに上乗せされる形で、そのソフトウエアーライセンス販売の数字に表れてこなければならない。
フランスエアーバス社など、旧コンピュータビジョン系のユーザーも多くあり、CADDSやOptegraの売り上げも僅かなりともあったはずである。Windcillなどは次世代のPDMツールとしてPTCが積極販売に出ている商品である。
そして、DesignWaveもその存続が決まり、これから積極的に売られて行こうとしている商品である。これらの新しい商品群が加わったのにもかかわらず、ソフトウエアーライセンス販売の数字大きく現象すると言う事は、WindcillやDesignWave等の新しい商品群が未だ全く売れていないか、Pro/ENGINEERその物の売り上げが急激に落ちているか何れかであろう。
更にPro/ENGINEERの将来を懐疑的にさせる、データとして、PTC全体の開発費の増加率の問題がある。その開発費は、98年度93,382千ドルに対し97年度は93,329千ドルあり、開発費の伸びは全く無かったとも言える結果である。先に挙げたように、扱わなければならない商品は大幅に増えているなかでの数字である。
特に、大きく力を入れていると言われるWindcillへの開発費などを考えると、Pro/ENGINEERに投入されている開発費は、大幅に削減されていると判断せざるを得ない状況が、この数字からは読み取れる。
その古さが指摘されるソリッドカーネルのモデルチェンジなどPro/ENGINEERの開発には、未だ大きく費用がかかるであろう項目が多く想定される。にもかかわらず開発費が大幅に削減されているであろう状況は、今後のPro/ENGINEERの発展に対し懐疑的にならざるを得ない。