CAE/CAD/CAM CONSULTANT 有泉技術士事務所
CAEとは、設計への活用は、最適化設計との関わりは?
■質問■
CAEとは、設計への活用は、最適化設計との関わりは?
■回答■
CAEの語源は1980年代初頭米国のコンサルティング会社SDRC社(I-DEASでおなじみの)が提唱したComputer Aided Engineeringが最初です。その狙いは、製品開発のあらゆるプロセスに渡り、すべての技術行為をコンピュータで支援する事であり、コンピュータ上でのバーチャルプロトタイピングやバーチャルテスティングを完璧に行うことによるよる高品質な製品開発でした。・・・・これらは今、やっと現実の物となりましたが、当時これを提唱したSDRCのメンバーが熱く語っていた話の要約です。
しかし彼らの狙いとは裏腹に、振動解析や強度解析、数値シュミレーションを得意とする彼らの商品は、どうしてもその分野から大きく拡大できず、「数値解析、シュミレーション」分野でのみ用いられ、評価され、いつの間にかCAEは「数値解析、シュミレーション」指す言葉になってしまいました。一般的には前者を広義のCAE、後者を狭義のCAEと言います。 さらに、設計部署へのCAE(狭義の)の展開ですが、私自身の考え方としては、「CAEは、設計者自身が、自分自身の設計の道具として、使って(メッシュを切る意味ではなく、実際の製品に起こる物理的な現象をCAE解析モデルへモデル化する仕事、解析から得られた結果を実際の物理現象に照らし合わせて其の妥当性・信憑性を評価する仕事、妥当と評価された結果を設計に反映させる仕事を指す)始めて意味のあるものであ る。」と考えております。
現実には"設計者が良く解らずに、複雑な非線形解析をして本当に成果がでるのか?"等、異論もあると思いますが、私の考えは"究極望むべき姿"と理解ください。要はこの究極まで近づくよう如何に努力・工夫をするかが重要になると思います。
さて、お問い掛けの最適化の話ですが、私は、設計者には余り、各ソルバーで用意されている最適化オプションの利用は、薦めてはいません。またあるレベル以上の設計者は、この機能を使う必要を認めておりません。何故なら、彼らに取ってはこの機能を使うより、一度解いた解析結果を読んで、自分の頭の中で最適形状を考えたほうが、圧倒的に早いということを経験しているからです。これが出来ない設計者は設計者失格と自覚すべきです。
横道にそれますが、ついでに現在ほとんどのFEMプリプロセッサーは3次元ソリッドから4面体メッシュを自動生成する仕組みになっています。しかし、ここの部分で、本当にCAEを設計の道具として使っている設計者の一部は困っています。
「今までは6面体メッシュの節点寸法をいじったり、直接要素の追加削除をして微妙な寸法変更を加えながらの最適シュミレーションが容易に出来たのに、3次元ベースになってしまうと、そのつど3次元データに修正を加え再メッシュの作業になってしまうため、たとえ寸法拘束などが利用出来てもかえって時間が掛かってしまう。このために古いバージョンのプリプロセッサーがいつになっても捨てられない・・・」
昔からCAEを設計の道具として駆使している人達の嘆きです。
本題に戻りまして、先の最適化機能ですが、私はこの最適化機能を全て否定している訳ではありません、この機能が大いに生かされる部分も多くの設計作業の中にはあります。例えば
・ルーチンワーク設計自動化の形状最適化エンジンとして
・企業の体力的にあるレベル以上の設計者が得られない、育てられない設計部署(気を付けないと危ないが)の設計支援ツールとして
等、挙げられます。
何れにしろ、この辺りは上記各項目とも併せ、設計作業中、何の目的で、何を求めて解析を行うかを明確にし、その得られた成果を、目的の範囲で活用する文化を育てた上で、その環境下での割り切った活用に徹すれば如何様にでもなる話だとは思います。