継承技術が無い製品開発をシュミレーション主体で行いたい

質問 新年度新分野への業務展開と言うことで我が社ではこれまで全く経験したことの無い分野向けの商品開発をしなければならなくなった。3次元CADや CAEを使った仮想試作・仮想試験だけで短期間で商品開発を実現する方法は。具体的には・・・・・(後略)
回答

さて、あらましの状況は分かりましたが、**さんは今極めて難しい問題にチャレンジされようとしておると思います。
**さんは自社に無い技術(継承技術が無い)をこれから取得し新しい固有技術や加工方法を確立しようとされている訳です。お問い合わせの問題に限りませんが、企業(製造業)にとってのこのような技術は既に先行する企業がその継承技術として代々引き継いでいるものだと思います。
この継承技術は、企業活動の中で極めて重要な役割を果たしており、特に能書きに乗らない、学校で学べない部分での勘所の有無がその技術の優劣に繋がっているのが一般的です。高度な加工技術を要したり、固有技術を要する製品への新規参入がなかなか難しいといわれるのはここに原因があるからなのです。
今**さんたちがチャレンジされようとしていることは、シュミレーション技術を用い、能書きの部分からのアプローチをされているのですが、シュミレーションはあくまでも現実の物に起こる物理的現象を数々の仮定たてながらシュミレーションモデルに置き換え、それをシュミレーするだけのものです。
ですから、その仮定や置き換えが誤っておれば、解析信頼度どころの話ではなく、その挙動メカニズムを掴む、傾向を見る等も現実的には不可能と言っても過言ではないでしょう。
そこの所を良く考えて頂きたいと思います。
又お問い合わせの問題は、私のメール(これまでのものも含め)を上司の方に見て頂き、特に担当役員や部長クラスでの確りした方向付けが必要であることを、報告されると良いと思います。当然私どもは、その取っ掛かりの場面より、どのようなアプローチがを行ったら良いのかの支援をさせて頂くつもりです。
3次元CADはあくまでも道具です。設計者が頭の中に描いた構想を具象化する道具にしか過ぎません。その具象化が的確に行われ、設計者の持つスキルやノウハウで十分な吟味がなされた後の、コンピュータ上にある製品データは、確かに仮想試作モデルと言えるでしょうが、この部分が欠けていたら単にお絵描きの結果(設計ではない)にしか過ぎないと言えるでしょう。
またCAE等のシュミレーションツールも同じです、先に述べたように、その製品に起こる物理的現象を的確に解析モデルに落とし込まなければ、その目的を達成することは無理と言えるでしょう。
今回の場合、最初は単純化した試験モデルでも構いません、目的の製品に起きるであろう、物理的な挙動を起こす試験モデルを作り、十分なデータ取りを先ず最初に行う必要があります。(ここの部分は、従来からの商品開発方法と全く変わらないと思ってください)そのデータをもとにシュミレーションモデルを作り、さらにそのシュミレーションモデルの妥当性が評価できる試験モデルを作り、と何回かの地道な積み上げを行ってください。
このような蓄積があって始めて**さんたちが考えている仮想試作・仮想試験のスタートが切れると言えるでしょう。